徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 弁護士バッジ

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注意していると電車などで見かけるのだが、遠目にはちょっといかつい感じのバッジ・・・中央部が凹んだ丸いバッジといえば、弁護士バッジである。
アレはけっこう目立つ、と思う。普通の社員章などと比べて、ずっと大きさも厚みもあるのだ。

そして、現在の日本で、最も権威のあるバッジといえば、議員バッジと弁護士バッジが挙げられるだろう。
議員バッジについてはこれまで何度か触れたので、今日は弁護士バッジの方を取り上げてみたい。
実際の業界のプロの方におかれましては、ぜひご指摘等お願いしたいと思います。

セキュリティ上、バッジによる身分確認というのはかなりムリがあるのだが、じゃあバッジなんてなくして、全部セキュリティカード方式にするかというと、実際にはかなり抵抗があるだろう。
なぜかというと、バッジには権威の象徴だからである。司法試験合格を目指す受験生にとって、弁護士バッジを手にすることは何よりの夢、執念(怨念)の的となっているはずである。当選を目指す議員候補者にとっても同様だ。やっぱりカードでは、アリガタミがないのである。
つまらない話のように思うかも知れないが、これはけっこう重要なポイントのように思う。
少なくとも、バッジコレクターの私には、このバッジというアイテムには、怨念にも似た執念がつきまとうのはよく理解できる。なぜなら、バッジというものはその人の立場や身分の象徴そのものだからである(そこがおもしろい点でもある)。
まあ、そういうこだわりを保守的だとして嫌う人の心情もまたよく分かるのだが。

弁護士バッジは、正式名称を「日本弁護士連合会員章」という。そのようにバッジの裏面に書いてある。
議員バッジと違うのは、弁護士バッジは日本弁護士連合会(日弁連)からの貸与品であるということらしい。つまり、弁護士個人所有物でない。シリアルナンバーが刻印されていて、これで管理されているらしい。
もっとも、しょっちゅうつけているモノだからなくすこともあるわけだが、そうなると始末書を書かされて再交付となる。なかなか管理が厳しいが、企業でも社員章の取り扱いに関しては、このくらいのことをやっているところはいくらもあると思う。

画像は、私のコレクションには当然弁護士バッジはないので、ネットで見つけた画像だけの紹介になるが、まずデザインを見てみよう。
全体の形はヒマワリで、中央に天秤が描かれている。ヒマワリは正義と自由を、天秤は公平と平等を表しているという。遠目にしか見たことがないのだが、ヒマワリの厚みは結構あって、中央部が凹んだ形をしているのでよく目立つ。想像だが、手に持ったらけっこうな重量感がありそうだ。

ところで、この弁護士バッジに関して、少し前に事件があった。
時事通信(ネット版、2009年7月22日)に、「弁護士かたり拘置所侵入=偽バッジ着用し組長面会」というニュースがあった。
「(前略)逮捕容疑は4月1日、実在する弁護士に成り済まし、面会申込書を偽造。東京拘置所に拘置中の指定暴力団極東会系暴力団組長に接見。3日、同様の手法で同組組員に面会しようとした疑い。
 このほか、自宅マンションで、自動式拳銃1丁と実弾15発を保管した疑い。
 同課によると、偽造弁護士バッジを身に着け、大阪弁護士会所属の弁護士名や登録番号を申込書に記入。バッジはインターネットで買ったという。」

この事件のミソは「実在の弁護士になりすまし」という点で、単にバッジだけあってもダメなわけだが、それでもこの偽造バッジは重要なアイテムとなっている。
さて、この犯人はバッジをインターネットで買ったという。確かにネットオークションでは舞台小道具用などとしてレプリカの弁護士バッジを売っていたりする。稀には、ホンモノがオークションに出品され、新聞ネタになったこともあった。上記の事件のように、ニセモノでも悪用しようとすればできてしまうのだから、やっぱり危険なアイテムなのである。

先にも触れたように、バッジは個人所有品ではなく日弁連からの貸与品である。外に流出することは、原則としてないはず。ではなぜホンモノが・・・?とも思うが、そこはそれ、紛失したとして再交付を受けながら実際にはそうでなかったとか、後で見つかったけどそのままになっていたとか、いろいろとケースは考えられる。そして本人がリタイヤしたり、亡くなったりしてしまえば、「本来ないはずのバッジ」がどこに行こうと誰にも分からないのである。

執務中はつけなくてはいけないことになっている弁護士バッジ。だが、服は何着もあるのに、それにつけるバッジがひとつだけというのは不便だろう。議員バッジの場合は、本人であればスペアを有償で購入することができることになっているが、弁護士ではそのような対策がないというのも不自由な話だ。
スペアを認めるか否かは大きなポイントだが、あくまで会からの貸与でバッジをコントロールしようとするならスペアは不可能だろう。それだからこそ、それなりに数はあるはずの弁護士バッジが、コレクター的には非常にレアなのである。

もっとも、私はこのバッジ、それほど関心が持てないのだけど。