徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

北朝鮮 切手に登場した勲章、奨章類(2012年) ~金正日編~

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前回は金日成勲章、金日成章、金日成青年栄誉章、金日成少年栄誉章の切手を紹介したので、こちらもついでに・・・ということで紹介しておこう。
こちらは、先の金日成のものを入手した後で見つけたので、ああやっぱりあったんだね・・・という気持ちでいささか義務的に入手した。

左上は70ウォンの金正日勲章、右上は50ウォンの金正日章、左下は30ウォンの金正日青年栄誉章、右下は10ウォンの金正日少年栄誉章である。
金額もまったく金日成のそれと同一である。ただし、金日成のほうは背景が赤、こちら金正日のほうは背景が緑となっている。切手にエンボス加工が施され、微妙に立体感が表現されているのも同じ。

改めて気づくのは、制定日の微妙なズレである。
新型金日成勲章等が制定されたのは、先の切手にもあるように、2012年6月20日
この金正日勲章等の制定は、2012年2月3日とある。このズレに意味があるのかないのか?
つまり、新型勲章等は、金正日版が先に制定され、それを追うように4か月経って金日成版が改定という形で登場したことになる。
しかも、この切手自体が発行されたのが2016年になってからなのだから余計ワケが分からない。

さて、実物を見るのが困難なため、これら切手で改めて北朝鮮の新型勲章等をチェックしてみよう。
肖像についてみると、金日成金正日がみごとに表情といい、顔の角度といい、まったく同じになっていることがわかる。ただ、服装は金日成はネクタイ姿金正日のほうはおなじみのジャンパー姿となっており、われわれの目には馴染んだ服装を反映している。

肖像以外の部分については一切違いは見えず、完璧に同じである。
異様なのは金日成勲章と金正日勲章で、よく見れば略綬がまったく同じである。
つまり略綬だけではどちらの勲章か見分けがつけることができず、そんな略綬が存在するのかと不思議になる。正章と略綬を同時に佩用することはありえず、したがって略綬はなんの略綬なのか、それ自身で明らかでなければ意味がないからだ。

実は、このブログでもすでに紹介したとおり、朝鮮新報のネット版記事(2012.2.12)に「生誕70周年に際し政令発表、金正日勲章と賞を制定」という記事がある。

金正日総書記の生誕70周年に際して、金正日勲章、金正日賞、金正日青年栄誉賞、金正日少年栄誉賞が制定された。
 これと関連する最高人民会議常任委員会政令が3日に発表された。政令によると、金正日勲章は、金日成勲章と共に朝鮮の最高勲章である。金正日賞も、金日成賞と共に朝鮮の最高賞である。金正日青年栄誉賞は、金日成青年栄誉賞と共に朝鮮青年たちの最高賞で、金正日少年栄誉賞は、金日成少年栄誉賞と共に朝鮮青年たちの最高賞である。
(中略)
金正日勲章は長さ67ミリ、幅65ミリで、金色の星の上に金色の帯で編み上げた稲の楕円形の中に総書記の太陽像(笑顔の肖像画)が納められている。勲章の上部には、朝鮮労働党の党マークが刻まれ、下部には朝鮮国旗がある。裏面には「金正日勲章」という文字と番号がある。

略章は横3ミリ、縦10ミリで、長方型の金色板の中心に星がある。

金正日○○は、金日成○○と共に朝鮮の最高××である」というフレーズが執拗に繰り返され、両者の権威に差がないことが強調されているのが印象的だ。

だが、そうするとこのふたつの差はなんなのかという素朴な疑問もわいてくるところではある。
金正日勲章は2012年2月3日に、それから遅れて金日成勲章の改訂版が6月20日に制定されている。
つまり、金正日勲章の登場により、すでにあった金日成勲章(1972年制定)に取って代わったのではない。改めて金日成勲章が改定されているのだ。この意味は何か。両者とも北朝鮮の最高権威を示すとしながら、運用上、両者の微妙な性格の違いがあることが想像されるのである。
でなければ、両者が並び立つ意味がないからだ。

うーん、実際のところはよくわからないが、この辺、北朝鮮における金王朝の微妙なスタンスが現れているような気がする。

【既出の関連項目】
比較しながら見てください。↓
切手に登場した勲章、奨章類(2012年) ~金日成編~