徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

アメリカ サミュエル・ゴンパース(AFL初代会長)のバッジ

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このどこか貫禄を感じさせる男が誰かというと、サミュエル・ゴンパース。名前を聞いても日本人はほとんど知らないと思うが、AFL(American Federation of Labor、アメリカ労働総同盟)の初代会長といえば、へぇと思う人もいるだろう。
AFLの創設は1886年。1955年にはCIO(Congress of Industrial Organization、産業別組合会議)と合体して、AFL-CIOとなって現在に至る。アメリカで最も主要な労働組合である。

サミュエル・ゴンパースは、死去の時までAFLの会長を務めていたらしく、ということは1886年から1924年まで38年もの間、就任していたことになる。
ゴンパース率いるAFLは、熟練労働者を対象にした労資協調型の労働組合として労働者の地位向上を目指した。イデオロギーや革命には否定的で、いわば保守的組合であった。まあこの辺、労働組合の草分け的存在として、そのような保守的な志向を批判するのは酷のような気がする。
ゴンパースは、わが国の最初期の労働運動指導者、鈴木文治も参考にしたとされるが、鈴木文治の友愛会も、その名のとおり労資協調的な組合活動を目指したのであった。ゴンパースの思想は、日本の労働組合運動にも大いに影響したことであろう。

バッジには、「THE MAN OF THE HOUR IN THE LABOR WORLD」、「LABOR DAY 1919」とある。
当時のアメリカの労働運動は、過酷な長時間労働の改善を目指し、8時間労働を目標としていた頃である。THE MAN OF THE HOUR、というのは当時のAFLのスローガンを反映しているのではないかと思われる。

バッジ自体は、アメリカのオーソドックスはカンバッジタイプ。表面を覆うフィルムの内側にサビが入り込んでしまい、状態はあまりよくないが、歴史を感じさせるバッジである。