徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 友愛会会員章

f:id:badge_culture:20210501022347j:plain

友愛会会員章

またまた久しぶりの更新。

コロナ禍中のメーデーとなった。せっかくなので労働運動関係のものでも紹介しよう。

大正元年に結成された「友愛会」は、わが国労働組合の草分けである。のちの世の労働組合でイメージされる労使対決より、キリスト教的精神に立脚した労働者同士の親睦や相互扶助を主とした団体であった。その精神はまさに会の名称に象徴されていると思う。

 

会長となった鈴木文治は、ユニテリアンの信奉者であった。友愛会のシンボルを考えたのは彼で、その時の経緯を次のように記している。

「その時、ふと目についたのは、統一協会(注:ユニテリアンのこと)の来客用の椅子に敷いてあった布団の模様である。その図柄は西洋風の炬火を月桂樹の葉で囲ったものである。私はこの図案から思いついて、一つの図案を完成した。月桂樹の葉は、これをリボンで二か所くくりつけ、西洋風の炬火は日本式の篝火に代えた。月桂樹はありふれた意匠であるが、これで勝利、凱旋(即ち労働の勝利)という意味を現し、リボンをくくりつけて、団結、一致、協力を表象し、火炎を以て正義、純血、熱情、愛、光明を表徴したつもりである。」

 

画像は、私が偶然手に入れた友愛会の会員章である。入手したときは、ほとんど胸が熱く思いであった。鈴木文治もこのバッジを胸に、活動を行っていたのだろうか。

かがり火のデザインを一見して、バッジの正体はすぐにわかった。果たして裏面には、「友愛會 會員章」の文字が。

バッジの大きさは約20mm、七宝もなくシンプルな仕上げ。表面のデザインは、鈴木会長自身が考案したシンボルが描かれている。かがり火、リボンで2か所くくられた月桂樹。ゆらゆらと立ち上る炎の表現が良い。

友愛会は、その後、労働争議の頻発、社会主義革命や共産主義運動の影響を経て、多様に発展していく日本の労働組合の源流となったのである。

 

badge-culture.hatenablog.com