徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 日本文化振興会 国際芸術文化賞メダル

イメージ 1

たまには少し派手なヤツを紹介しよう。
日本文化振興会の国際芸術文化賞のメダルである。正式名称は不明。

以前何回か骨董市で見かけたことがあって、おやまたハデナデなシロモノだこと・・・と呆れていたのだが、そこに書かれていた値段を見てびっくり! なんと(確か)12万円の値札付きであった。
もちろん、「へーっそんなに高価なモノなのか!」という驚きではなく、「こんなしょうもないモノになんて値段つけてるんだよコラ!」という驚きであったのはいうまでもない。

確かにメダル自体はでかくて(本体幅77mm以上)派手なことこの上なく、何メートルか先から離れて見れば、おっなんかすげえのがあるぞと思う人もいるだろう。こんなベラボウな値段をつけたのが、知らない人を引っかけるためか、本当にそれだけの価値があると信じていたのかは不明だが、ひどい話もあったものだ。

画像の一品は、その後私が12万円の数十分の一の値段で購入したもので、まあ私も物好きといえば物好きだ。手に入れてからマジマジと見て、コリャやっぱりダメだわ、と思った次第である。

紅藍のリボンと周囲の緑葉はは「大勲位菊花大綬章 」のそれ、鈕はまるっきり「文化勲章」、白い旭日はもちろん「旭日章」であり、中央の文化振興会マークは、議員バッジを想起させる。要するにいろんな勲章などのパーツの寄せ集めなのだ。
なお、正章・副章の別、または略章はなさそうで、これがすべてであるらしい。
マジマジと見ると、しかし、ホンモノの勲章とのデキの違いが、要するにアラがよく見えてくる。まず、外側の緑と赤の彩色は、七宝ではなく樹脂製らしい。鈕と章本体のつなぎ目部分の適当さも目に余る。
要するに、デザインがちぐはぐな上に、ツクリが安っぽい。その代わり、ただデカい。要りもしない大きさだけは十分ある。そしてムダに重い。

章の裏側には、「国際芸術文化賞 日本文化振興会」の文字がある。
また、デカイ化粧箱の蓋裏には、「賞 国際芸術文化賞 芸術部門 日本文化振興会 名誉総裁 元皇族 梨本徳彦」と金文字で印刷されている。

一体、「日本文化振興会」とはなにか検索してみると、まあほぼ予想どおりのことがわかる。民間の顕彰団体で、顕彰事業以外なにをやっているかよくわからない(やっていないと思われる)。
現在の会長(第10代)はといえば、中松義郎ドクター中松である。この人の名前を見ただけでも普通の人は眉にツバすることであろう。
どんな人が受章しているか気になるところだが、なぜか公式サイトには一切でてこない。検索してみると、どうやらいろんな人にいきなり菊花紋入り封筒で受賞内定が送られてきているらしい。でも、なんだかアヤシイと。無料はうたっているものの、結局は寄附だなんだと金がかかるという仕組みのようだ。
予想どおりすぎる。

公式サイトには、歴代役員や名誉総裁の名が見て取れる。
歴代の名誉総裁に元皇族などが名を連ねているのも、いかにもそれっぽい(現皇族は一人もいない)。
なお、梨本元名誉総裁は、第2代目で、在任期間は昭和56年9月~昭和62年9月となっている。つまり、このメダルの製作された年代は、今から30年ほど前ということになる。

ディプロマミル資格商法というのがあって、金さえ出せば称号やら賞状やらメダルやらをくれるという商売がこの世にはある。そういうメダルやバッジも、実は私は決して嫌いではない。いや、好きである。

人間に虚栄の心なくして、徽章文化は成立し得たであろうかと思う。徽章とは、ある意味虚栄そのものを具現化させたアイテムではなかろうか。

なお、日本文化振興会には、この他にも、「菊華勲章」など(注:正式の勲章である菊花章とは字が違うのがミソ)、これよりもっとデカいのがあるらしいが、ぜひ欲しいものである。むろん、少しでも高ければ絶対に買わないけど。