徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 毛・林バッジ

イメージ 1

選挙ニュースですっかり忘れてしまったが、9月13日は、中国で林彪事件が発生した日であった。
1971年、まだ文化大革命のただ中にある中国で、1969年の中国共産党大会で毛沢東の後継者として指名された林彪(党副主席)が、毛沢東暗殺を企んで失敗し、飛行機でソ連に亡命する途中、モンゴルで墜落死したという事件だ。中国共産党は大混乱に陥り、やがて毛沢東夫人の江青ら四人組が台頭していくこととなる。
もっともこの林彪事件、果して毛沢東暗殺計画などあったのか、なぜ亡命に至ったのか、いまだ真相は謎の中である。

文化大革命の権力闘争の中、毛沢東の力を利用して最も頭角を現したひとりが林彪である。このバッジでも天安門上で林彪が手にしているのは「毛主席語録」(毛沢東語録でなく、毛主席語録というのが正しい)だが、これは林彪が普及に力を尽くしたものでもある。「毛沢東同志は現代の最も優れたマルクス・レーニン主義者である」で始まる前文も、林彪の筆による。

林彪事件を境に、毛沢東の後継者から反革命分子への転落。林彪の存在は公から消され、その名前には×印が付され、その姿は絵から削られた。もっとも最近では、文革末期の林彪=革命の裏切り者的なイメージは薄れ、抗日戦争期や内戦期の活躍により、軍人としての功績が再評価されつつある。

そんなわけで、林彪のバッジは高いのだ(笑)。今や文革時代のシンボルである毛バッジはコレクションや投機の対象となり、経済的富裕層の増加と共に、出来のいいモノや珍しいモノには驚くような値段がつくようになった。偉大な革命家から反革命分子、そしてついにレアグッズへ。

このバッジは天安門上で毛沢東と並ぶ林彪のバッジで、裏面には「熱烈歓呼中国共産党第9次全国代表大会開幕 1969年4月1日 南京軍区装甲兵」の文字がある。直径なんと70mmを超える大型バッジで、彫りも深く、今ではかなり高い値で取引される有名なバッジだ。