徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

ドイツ 国家社会主義ドイツ労働者党党員章

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十字の話ついでに、やっぱりこれも触れなければならない。
ドイツ・ナチ党の党員バッジである。世界中の政党バッジの中でもっとも有名な党員章かもしれない。

高級党員用と一般党員用があるが、これは一般党員用。大きさは直径約23mm。銅に七宝仕上げだが、後期にはペイント着色のものも登場した。
「National-Sozialistische-DAP(Deutsche Arbeiterpartei)-」、すなわち「国家社会主義ドイツ労働者党」。名前だけ聞いているとまるで社会主義の左翼政党みたいだが実態はその逆。

排他的民族主義を標榜する政党は、今世紀に入っても少なくないが、国家をあげて疑似科学的な優生学・人種学を体系化し、それを根拠に世界支配に乗り出したのはほかに例がないだろう。
ユダヤ人や障害者はドイツ人の血を汚す、というオカルトじみた優生学が、虐殺の「科学的」根拠となった。その他、共産主義者、同性愛者、ジプシー(ロマ人)も・・・エスペラントの生みの親、ザメンホフ博士はユダヤ人だったが、彼の家族も絶滅収容所で命を落した。

以前、ドイツ在住の私の友人から、「ドイツ人とは、たとえ冗談でもナチの話をするな」と真顔で忠告され、内心びびったことがあった。ドイツでは、法によりこのシンボルを公の場で掲げることを禁じられている。
誰かが言っていたが、「ナチスドイツがヨーロッパを支配できたのは、党や軍の制服が格好良かったからだ」と。シンボルというのは重要なもので、ネーミングの妙によって商品が大流行することがあるように、この説も決して無視できないと私は思っている。

赤と黒は、地と大地を象徴しているという。鈎十字=ハーケンクロイツは、オカルティック雰囲気を醸し出していて、赤・白・黒のコントラストの強い色彩と相まって、極めて印象的だ。言うなれば、このシンボルを使ったマーケティング戦略に彼らは成功したのだと思う。
その結末は最悪だったけど・・・