徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

2020年東京オリンピックのメダル発表!

まだまだ先と思っていた2020オリンピック東京大会まで、もう1年だ。来年の夏は、オリンピック一色になるだろう。ただでさえ、オリンピック期間中は独特の雰囲気がある。それが、約半世紀ぶりの日本開催である(ただし夏季大会)。
これから起きることを思えば、楽しみのような、不安のような・・・。

さて、オリンピック開催1年前を記念して、組織委員会から本大会の金銀銅のメダルが公開された。
このブログで恒例となった(?)オリンピックメダル紹介といこう。アスリートたちが命に代えても欲しい、と憧れるメダルである。

イメージ 1

こちらはメダルの裏面。

イメージ 2

これが金メダルの表面。IOCの規定により、表面のデザインは、「パナシナイコスタジアムに立つ勝利の女神ニケ像」と定められている。

メダルの製作は、過去の日本大会でもメダルを製作してきた造幣局(大阪本所)。今や造幣局は国の機関ではなく、独立行政法人となったが、過去の実績を踏まえて組織委員会随意契約したのであろう。組織委員会の調達情報を見ても、メダル本体の製作は一般競争入札には付されていない。

さて、どうであろう、今回のデザインは?
私の第一印象は、メダルとリボンを繋ぐ「環」を見せないデザインにしたのか・・・ということであった。
どうなっているか、画像では見えないのだが、組織委員会の公式サイトによると「メダル本体上部への埋め込み式」と書かれている。

ここに注目しながら、近年のメダルと比較してほしい。


イメージ 4

2012ロンドン大会


イメージ 6

(参考)1964年東京大会
(表面のデザインが現在の規定と異なる)

リボンとメダルを繋ぐ部位のデザインにもそれぞれこだわりがあるのがわかるだろう。
リオデジャネイロ大会メダルも同様に「環」を外側に見せない工夫をしており、今回の東京大会メダルも同様のデザインとなっている。
ロンドン大会メダルはあえてシンプルで角ばった形状を強調し、北京大会メダルは中国の伝統性を感じさせる凝ったデザインとなっている。

なお、1964年の東京大会メダルは、小さい突起にリボンに接続した金具でつける形をとっており、リボンでその接続部を隠す工夫がされている。こうして最近のメダルと並べてみると、少し時代を感じる。

私は今回のメダルデザインをテレビのNHKのニュースで初めて見たが、真っ先に映し出されたのは、メダル表面ではなく、裏面であった。これテレビ見てる人はこっちが表面と勘違いするんじゃないかなあと思ったものだ。

なぜなら、表面のデザインや全体の形状はIOCによって決められてしまっており、大会ごとに独自性をアピールしようと思えば裏面か、わずかにリボンとつなぐ環や、リボンに限られてしまう
またデザインもIOCの承認が必要とされる。

なお、このデザインの規定は冬季オリンピックは対象外のようで、したがって冬季オリンピックでは毎回かなり斬新なメダルが登場する。ドーナツ型や、波打つ形などは印象的だった。わが国で行われた1998年長野大会でも漆塗り製のメダルが登場したものだ。
この辺、よくわからないのだが、メダルデザインの統一は、大会の歴史的継続性という観点から必要な規定だとされているのだろう。だが、それならなぜ冬季大会ではそのようにしないのか。正直不思議だ。
ついでに言えば、どんなメダルが登場するか予測がつかない冬季大会メダルのほうが面白みがあるのではないか。
夏季大会においてもメダルデザインは規定化せず、冬季大会同様に各主催の自由に任せるべきではないだろうかと思う。IOCはわが徽章文化研究会の提言を重く受け止めるべきであろう。

で、今回のメダルの裏面だが、凹凸が深く、立体的だなと思った。中心に大会ロゴを配し、周囲にぐるぐるとした幾重にも見える環。デザイナーいわく、テーマは「光の環」だという。
上述の近年の大会メダルの裏面を見ると、リオデジャネイロ大会のはなんだかゴルフボールみたいだし、ロンドン大会のは大会ロゴそのまんまでベタな感じ、北京大会翡翠を組み込むという離れ業を繰り出していてちょっとイレギュラーすぎ、正直どれが好きかといわれれば、今回の2020東京大会のが一番良いようにも思うけど、これは贔屓目すぎるかな?

それから、微妙な表面加工にも目が行った。一見キラキラと見えるが、けっしてツルツルではない。表面には細かい凹凸があって、それが光を乱反射させる。

テレビでは、スタジオに実物が登場し、手にしたアナウンサーたちが口々に「重いですね」などと言っていたが、事実かなり重いツクリになっている。
公式サイトによると、「金:約556g 銀:約550g 銅:約450g」とのことで、金・銀メダルは過去大会のどれより重いという。

なお、素材の金属は、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」で集められた携帯電話などからの100%リサイクルによる。
このプロジェクトで集められた金属の量は次のとおり。
金:約32kg
銀:約3,500kg
銅:約2,200kg

私もこのプロジェクトで回収をやっているところを何度か見たことがあるが、使い古しの携帯電話などそうそう持ち歩いているものではない。プロジェクト実施期間中、回収量がなかなか目標に届かないという話を聞いていた。特に銀の達成率が低いらしかった。が、結局はプロジェクトは成功裏に完了し、「持続可能な社会の実現」というオリンピックの理念の下、リサイクル素材で作られたメダルが大会を飾ることになる。無事完了して何よりだ。
環境省によると、携帯電話一台あたり、金0.05g、銀0.26g、銅12.6gが含まれるという。

全量を携帯電話で賄ったとして、ざっと計算してみると、必要な携帯電話は、金なら64万台、銀なら7,000万台、銅なら4,400万台が必要だ。改めて見ると、確かに銀の達成率が低かった理由がわかる。

これから大会を盛り上げるイベントが各地で開催されるだろう。その時にこの新しいメダルを目にする機会もあると思う。