久しぶりにアルバニアモノを紹介しよう。
戦後は労働党の一党独裁で欧州の中でも最も閉鎖的な政治体制をとっていたアルバニア。1990年代になるとさすがのアルバニアも東欧の政治動乱の余波を受けて、複数政党制の導入や非共産主義政権の誕生など、大きな変化を遂げた。その後は諸外国と政治的経済的関係を強め、2009年にはNATOに加盟、EUの加入候補国にもなっている。
かつてはヨーロッパの北朝鮮のような国であったことを思うと、あのアルバニアが今やまさかのNATO加盟国である。まさに隔世の感がある。
画像のパルチザンスター勲章は、戦争中に軍務についたものに与えられた勲章である。1945年7月制定。ユーゴスラヴィアに全く同じ名称の勲章があり、きわめて酷似している。
ただし、ユーゴスラヴィアのパルチザンスター勲章は、1,2,3級でデザインが異なっている。中央の赤い星は共通し、その周りの飾りが等級により異なり変化をもたせている。
しかしアルバニアでは、全等級のデザインが一緒で、メッキの色だけが異なる(1級金、2級銀、3級銅)。
ユーゴスラヴィアのパルチザンスター勲章が1943年8月に制定されたことを考えれば、アルバニアがこれにインスパイアされたことは間違いないだろう。
さて、戦後のアルバニアは資本主義諸国どころか、やがては社会主義諸国まで敵視し、隣国のユーゴスラヴィアはおろかソ連とも断交するなど、極端な鎖国政策に走ることになった。
そのせいか、アルバニアの勲章には、独特の雰囲気のものが多い気がする。このパルチザンスター勲章がユーゴスラヴィアそっくりなのは、たまたまその制定時期が早かったためかもしれない。
もっとも、独自性があるからといって優れているかというとけっしてそうではない点は強調しておかねばならない。アルバニアの場合、この独自性というのは、少なくとも他のヨーロッパ諸国と比べると、どこともかけ離れてデキが悪いということも意味するのである。