徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

イギリス チャールズ新国王の勲章 ~エリザベス女王葬儀に見るイギリスの高位勲章~

画像1 チャールズ国王と王族

画像2 チャールズ国王とエリザベス女王の棺

エリザベス女王の葬儀の様子が、テレビ中継されていた。見るともなしにしばし目が留まった。王族や各国の要人が集ったイギリスの国家と王室の権威を示す大イベントなのである。

新国王となったチャールズ3世は今年73歳。ずいぶん歳をとった、というのが率直な感想だ。隣に並んだアン王女もこんな感じだったっけ?考えてみれば、親が96にもなればその子もそれなりの歳になってしまうのだ。この歳でやっと国王というのも大変なのではないか。なんだか同情を感じる。

 

さて、王族がみな軍服に身を包み、高位勲章がきらびやかに光っていたのが印象的だった。イギリスといえば勲章制度の本家本元のような国だ。どんな勲章だったのか、少し見てみたい。

まずイギリスの最高位勲章の代名詞ともいえる、ブルーリボン

ガーター勲章(正式名称は、The Most Noble Order of the Garter)である。画像1では、4人の王族が左肩から右腰にかけている濃く青いリボンに、金色の正章が下がっている(チャールズ国王の右手首のあたりに小さく見える)。イングランドの聖人、聖ジョージがドラゴンを退治している図柄である。

また、チャールズ国王の左胸上部にみえる大きな勲章が、ガーター勲章の副章。画像2では、ガーター勲章の副賞の中央に赤い十字がはっきり見える。

 

(参考)ガーター勲章の画像

https://i.pinimg.com/originals/e7/39/f8/e739f8ccf9949cbf1c6455c0dfa9be61.jpg

なお、ガーター勲章については過去「女王陛下のブルーリボン」(君塚直隆著)という本を紹介したことがあるので、合わせて参照いただきたい。まさに勲章制度の極致と言っていい勲章である。


次に移ろう。


チャールズ国王の左胸、ガーター勲章副賞の下に見える、これも大型のひし形の勲章。
こちらはシッスル勲章(正式名称は、The Most Ancient and Noble Order of the Thistle)。

スコットランドの最高勲章とされ、現在のイギリスではガーター勲章に次ぐ高位勲章とされる。「Thistle」とはアザミの意で、スコットランドの国花であるアザミがデザインされている。ガーター勲章のシンボルがブルーなら、こちらはグリーン。
スコットランドの荒野に咲くイガイガとしたアザミをシンボルにするあたり、なんとなく私はこのセンスを好ましく感じている。なお、こちらはスコットランドの聖人、聖アンデレのいわゆるX字型の「アンデレクロス」が描かれている。

The Order of the Thistle

次に目を惹くのは、チャールズ新国王の喉元にさがるメリット勲章(Order of Merit)。

軍事での功績または科学、芸術、文学等の文化の振興、若しくは公共の福祉へ貢献があった人物に贈られ、定員は24名とされる。高位勲章で、他の王族はなく、チャールズ国王だけつけているのがわかる。

なお完全に余談ながら、エチオピアにはメネリク2世勲章という割と有名な勲章がある。これがイギリスのメリット勲章と色違いながらデザインが酷似しており、メリット勲章を完全にマネしていると私は疑っている。

その他、胸にはジャラジャラと無数の勲章、メダルをつけているのが見える。他の画像で数えてみたら、10枚確認できた。リボンの色などをよくチェックすれば正体はわかると思うが今回は割愛。

改めて日本の勲章と比較すると、キリスト教文化を背景にした日本とは全く違った本家本元の勲章カルチャーを感じることができるだろう。

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