徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

アルバニア王国 3級スカンデルベグ勲章

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これまで何点か、アルバニアモノを紹介してきたが、みな共産主義時代のものだ。
では、1946年以前はどうであったのかの事例を紹介したい。
・・・
いや、本当は紹介するのももったいないと思うほど。
私のコレクションの中でもとりわけ素晴らしいモノをここで公開してしまおう。

オスマントルコから独立したのが1912年。混乱期を経て、1925年に共和制国家の大統領として就任したアフメド・ゾグ大統領だが、1928年、再び王政への移行を宣言し、ゾグ1世となる。

このゾグが1925年に制定したのが「スカンデルベグ勲章」である。民族の英雄スカンデルベグの名を冠した勲章は、新しい国民国家としてのシンボル的としてふさわしい。しかも、英雄スカンデルベグは、トルコとの戦いで活躍した人物でもあった。
このスカンデルベグ勲章は5階級からなる。主として軍人用だが、外国人にも多く授与されたようである。

さて、画像を見て欲しい。
すごい・・・の一言。世界の勲章と並べてみても、まったく遜色のない堂々たる一品。
これは、おそらく3級のものと思われる。

もうずいぶん昔のことだが、この勲章も私にとっては思い出深い。
あるコイン商のショーケースで、偶然この勲章を見かけたことがあった。正直、当時の私は、アルバニアの存在すらろくに知らなかった。コレクションの財力も知識も全くなかった学生時代の頃のことだ。

だが、そんな私をしても、目を留めさせる魅力と迫力があった。日本のモノとはまったく異質なデザインとツクリ。細かい透かし彫りを施した鷲の造形と七宝細工の妙、スゴイと思った。
値段は覚えていないが、とびきり高かったように記憶している。だが、その勲章の異様なくらいの迫力と、「アルバニア」という名前ははっきり記憶に残った。
それが「スカンデルベグ勲章」という名前の勲章であったことは、コレクターになってから勲章関係の本で知ったことだ。

初めての出会いからずっとたって、やっと入手できたときは、やっぱりあの時受けた感銘は間違いでなかったと思ったものだ。

細かく画像を見てみよう。
デジタルカメラで、箱入り状態のままで撮ってみた。
リボンは黒と赤のストライプで、いうまでもなくアルバニアのナショナルカラーである。
首の後ろで結び、胸元にぶら下げる。このリボンを通すため、本体の上部には大きな環がつけられている。大きさのほうも立派なもので、本体だけで縦72mm、横幅55mmほどもある。

材質は銅に金メッキ。
双頭の鷲をかたどり、特に左右に並んだ羽のパターンの繰り返しが見事。羽や尾羽の部分は丁寧に透かし彫りにされていて、服につけたとき鷲の形が浮かび上がって見えるよう配慮されている。
赤の七宝は不透明で、羽一枚一枚に細かく施されている。
中央のパーツは、緑の柏葉?に囲まれた、山羊の頭飾りのある兜で、これはスカンデルベグの兜である。
緑と青の七宝が、全体の赤地に映えて爽やかな印象を与える。
この部分は細かいパーツが複数組み合わされ、手の込んだツクリとなっている。

ついでにいうと、箱は赤地で、表面には大きく双頭の鷲のマークが金で押されている。箱の内部は黒い布張りで、箱もナショナルカラーを表している。
裏面の刻印や箱のプリントからして、この勲章はイタリアのローマ製であるようだ。

1939年、アルバニアファシストイタリアの侵略によりイタリアの支配下に置かれるが、この勲章は廃止されることなく続いた。
さらに戦後は共産主義国家となるが、デザインを大きくコミュニスト風に変えつつも、スカンデルベグ勲章は生き残ることになる。

・・・この話はまたあとに続きます。