徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

アメリカ アンクル・サムのバッジ ~戦うサムおじさん(U.S.)!~

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アメリカを擬人化したシンボル、アンクル・サム。「I WANT YOU」と見る人に指を突きつける、第一次大戦時の募兵ポスターはあまりにも有名だ。
このおじさんの起源は諸説あるようだが、通説は次の通り。
第二次独立戦争(1812)の時、ニューヨーク州に、サミュエル・ウィルソン、愛称「アンクル・サム」と呼ばれる軍納入の精肉業者がいたそうだ。彼は、肉の樽にアメリカの略称「U.S.」の焼印を押していたが、兵士達はそれを「アンクル・サム」とジョークで呼んでいた。そこから、アメリカ合衆国を「アンクル・サム」と呼ぶようになった・・・のだそうだ。

じゃあこのキャラクターデザインはどこから来ているのかと思うところだが、そこはよくわからない。新聞に掲載された風刺漫画か何かが元になっているようだ。ヒゲはリンカーンのあごひげらしいが、なぜ初老の白人男性なんだろうな?
「サムおじさん」という名前から連想したキャラクターだろうか、あんまりイイ男とも思えないんだが・・・

1898年勃発したアメリカとスペインの戦争、通称「米西戦争」は一種珍妙な戦争であった。一言でいえば、キューバなどの独立運動を弾圧するスペインに対して、アメリカでは非難の世論が高まり、議会も世論に同調、フィリピンや中米で対スペイン戦争が開戦した。アメリカ勝利の結果、スペイン勢力は太平洋やカリブ海から姿を駆逐される。もっとも、これら地域で、アメリカはスペインに代わる支配者として君臨していくのだが・・・

余談が長くなったが、このバッジは米西戦争時のものとされる。
裏側は縦にピンがハンダ付けされている。キャンペーンバッジである。このアンクル・サムは募兵を呼びかけるだけではなく、自ら銃を担ぎ、戦地に赴こうとしている。かついだ荷物の横に「U.S.」とあるが、アメリカの略称であると同時に、アンクル・サムの略称でもあり、上記の説が意識されているんじゃないかという気がする。

星条旗をデザインした帽子と服はどこかチンドン屋めいて見えるが、当時の風刺漫画のキャラクターらしく、興味深いものである。
そもそも、これを型にしたバッジを作ろうという発想がスゴイんじゃないだろうか。
高さは52mmとやや大きめ。銅板を立体に打ち出したツクリである。

・・・21世紀になっても、まだ当分サムおじさんの戦いは終わることがないようだ・・・