経緯はよくわからないが、現在、都道府県や市町村の議員さんのバッジというのはそれぞれ全国共通のものが多く用いられており、一部で独自のものを制定しているという状況のようだ。まあ議員がゴテゴテ偉そうなバッジをつけているのはいかにも特権階級的に見えてしまう。全国共通の徽章を選択するのは、まあ無難な反応かもしれない。
だが、昭和30年代はまだそういう意識も薄かったのか、単に全国共通徽章が制定されていなかっただけか、各地域でバッジの妙を競うかのように個性的でさまざまな議員バッジが作成されていたのであった。
コレクターというかウォッチャーとしてはそのほうがおもしろかったかもしれないとも思う。
この熱海市の議員章は、まさに昭和30年代の作。直径20mm、純銀金メッキ製(メッキはだいぶ剥落している)で重量感があり、いかにも議員センセイの「金バッジ」という感じ。菊花紋の中央に「熱」の文字という、なんとなく身もフタもないデザイン。
私にとっては、このバッジが初めて手に入れた議員章で、ノミの市で買ったのだが、このいかにも権威権威した造作は、私に日本の徽章文化というのは何かというのを考えさせるきっかけとなったのだった。
そういう意味では、とても思い出深いバッジである。