徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 はぐるま座訪中公演記念バッジ

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最近、右から左まで振幅の激しいわがブログですが、さあ今日も開き直ってキワモノをご紹介。・・・

はぐるま座」と聞いて興奮する人は、最近の若者の中では比較的少数派だと思うが(笑)、ある年代というかそのスジの人たちにはたまらない響きを持つのであった。

1966年、中国で文化大革命が勃発すると、その評価を巡って日本の左派組織は分裂・対立したことがあった。日本共産党は、毛沢東が主導する文化大革命に批判的立場を取ったが、日本共産党内にも文化大革命にシンパシーを抱くものがいたわけで、激しい対立の末「日本共産党(左派)」が誕生する。親毛沢東の親中国共産党組織である。ということはつまり反ソ連系左派なのである。
たしか60年代の「人民中国」かなんかで、この劇団が毛沢東主義を称える演劇を公演していた様子が載っていたのを見たことがあったが、なんだかすごいインパクトだった。

この組織の発行する機関誌は「人民の星」。
大学時代、私の研究室の学生部屋においてあったのを見たことがあったが、アレ誰が持ってきたんだろうと今さらながら不思議だ。もちろん今だって発行され続けている。
そして、日本共産党(左派)の関連組織がこの「はぐるま座」。もちろん現役の劇団だ。

このバッジは、北京で買ってきたもので、里帰り品だ。裏面には「訪中公演記念1967」とある。まだまだ紅衛兵運動が盛んだった頃で、すでに日本共産党中国共産党との関係は完全に決裂していた。
バッジは2面の赤旗を組み合わせた意匠で、「反帝 毛沢東思想の勝利万才」「反修 プロレタリア文化大革命万才 歯輪座」とある。
わざわざ中国人にもわかるように「歯輪座」(「輪」は中国語の簡体字)と漢字表記しているあたりもニクイ配慮だ。スローガンを中国語にしなかったのは、その方が日本らしい感じがでるから、わざと日本語のひらがなやカタカナを残したのではないかという気がする。

なんというか、これも日中の交流史のひとつなのだと思うと感慨深いものがある。
日本共産党(左派)もはぐるま座もまだ現役だが、中国ではもう毛沢東思想は絶滅した。柳田国男は「古語は辺境に留まる」とか何とか言ったが、日本は中国文明の辺境なのかと思わせられる・・・といっては大げさか。