徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 帝国発明協会会員章

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一見つまらなそうなバッジに見えて、実はスゴイ組織のものだった、などということはよくあるものだ。表側の「顔」だけではわからない。特に会員章などのメンバーシップバッジは、一見地味で目立たないものが多いのである。

そんなときは「~会員章」とか「~記念」と裏面の刻印や箱書きに頼ることになる。なんだかこのバッジ、雰囲気あるな・・・と思っても、その決め手情報がない場合は正体不明のバッジで終わってしまう可能性もあり、うんと安くて「顔」が魅力的なものを除いてはパスすることになる。だから私は購入の際、いちいちバッジの裏面を確認したがるのである。よくのみの市では布にバッジをつけて売っていることがあるが、いちいち外して裏面を確認するのはとても面倒なので、展示方法を改善してほしいものだと思う。

(もっとも、後になってその正体が判明することもあり、うわぁアレ買っておけばよかった~!と後悔することもあるのだが、まあそれを言い出したらきりがない。所詮しがない個人コレクターに、バッジのめくるめく世界はあまりにも広く、深すぎるのである。)

さて、今日の一枚は、顔立ちからして何となく端正で、気になって手に取ったものだ。
ちゃんと裏書きもあり、オリジナルの箱にはその正体が書いてあるのが購入の決め手となった(とか言っても実はごく安い)。
「帝国発明協会会員章」とある。戦前のものだ。

さらに小さな桐箱の中には説明書きの紙が入っていて、そこにこうある。
「翼・発明飛躍の象徴 希臘神話中『デタラス』翼を発明して空中を飛行せりとあり 神話時代最古の発明なり」

デタラスってなんだ?と思ったが、ダイダロスのことである。
発明家であり建築家でもあるダイダロスは、ミノス王の怒りを買い、息子イカロスとともに迷宮に幽閉されるが、そこはさすが天才発明家。鳥の羽を蝋で固めた人工翼をつくり、息子ともども脱出に成功する。が、息子のイカロスは父親の注意を忘れて高く飛びすぎたため、太陽の熱で翼が溶け、墜死してしまう・・・という例の有名な神話である。
うーむ・・・これ「神話時代最古の発明」の話にして、同時に「発明による最古の犠牲者」の話でもあるわけだ。会としては、そこまで意味を込めているわけではないだろうが・・・

帝国発明協会は、明治37年に起源を持つ古い組織で、戦後「発明協会(JIII)」に改称、現在も存在する。活動内容は、「工業所有権制度の普及に努め、我が国科学技術の進歩・発展に貢献しています。(協会サイトより)」だそうだ。

バッジは中央に発明の「発」の字を置き、周囲を工業のシンボルである歯車と、ダイダロスの翼で囲んでいる。