徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

アメリカ KKK(クー・クラックス・クラン)会員章

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先日、ネットでニュースを見ていたら、「KKK元構成員に無期の禁固3回の判決、殺人事件で」という見出しが目にとまった(CNN.net)。

ミシシッピ州の地裁は24日、人種差別が強かった1964年、同州南西部でアフリカ系の若者2人(当時19歳)を誘拐、殺害したとして白人優越主義者の秘密結社、クー・クラックス・クラン(KKK)の元構成員ジェームズ・フォード・シール被告(72)に無期の禁固3回分の判決を言い渡した。」

アメリカでは、懲役200年とかいう判決が出たりするが・・・それにしても、40年以上も前の事件である。すごい裁判だ。

KKKといえば、アメリカの人種差別的な白人優越主義の秘密結社として有名である。そして、あの悪魔的なイメージの定着した白装束によって。
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KKKは、誕生以来、時代によって微妙に性格を変えている。
元々は南北戦争直後の1865年、北部に破れた南部白人の不満を背景に、数人の若者によってテネシー州の田舎町で生まれたマイナーな運動だった。それに元南軍の幹部なども加わり、北部への抵抗運動として勢力を拡大させた。
だが、勢力の拡大とともに組織の統制が乱れ、黒人に対する暴力行為がエスカレート。おびただしい殺人事件を引き起こすに至って、1871年連邦政府によってKKKは解散させられる。
これが第1期クランである。

それでも、KKKは復活する。
第2期クランは、第一次大戦後、ユダヤ人や左翼主義者、カトリック信者、外国人なども攻撃の対象に加えた組織として勢力をふるった。

さらに第二次大戦後、市民権意識の高まる黒人社会に対し、またまたKKKは復活する。これが第3期クランである。今では勢力は衰え、組織自体も統一性のない小グループに分離されているようだが、KKKを名乗る組織はアメリカに存在する。
そして、人種差別問題がクローズアップされるたびによみがえる悪夢として、人々の脳裏に深く刻まれている。

画像の会員章?は、直径約30mmの真鍮板に刻印した単純なものである。ほかにもKKK会員章には様々なタイプが存在する。
「1927」とあるから、第2期クランの末期にあたる。
IN GOOD STANDING」というのが具体的にどういうことなのかよく分からないが、まあ自分たちの立場の正統性を表現しているのだろう。

考えさせられるのが、彼ら自身はは決して自らを犯罪的、反社会的な存在とは決して思っていないことである。
もう1枚写真を紹介する。1973年ノースカロライナ州で撮影された、KKK系組織(正式にはKnight of Ku Klux Klan, KKKK)の団員の結婚式
・・・うう、ものすごい花嫁衣装だ
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この写真を見るにつけ、なんというか、ちょっと考えさせられる。
彼らにとっては、こういう組織に属することは後ろめたいことでもなんでもなく、それどころか誇りなのだな・・・と。
ただ、この子供や孫たちは、どう感じるかなあ。これ見たら、ねえ。
どこの国でも暗い歴史というのはあるものだなあ・・・。

アメリカの秘密結社」(綾部恒雄著)では、1970年代のKKKについて次のように総括している。
「現在のクランが直面している問題は、対黒人問題とともに、急激に進行しつつある南部の都市化と工業化の動きである。この意味では、南部のクランの主張は教育程度の低い貧困な白人たちが、『失われつつある』と彼らが考える白人の既得権を維持するためのあがきとも言える。」
「要するにクランは、アングロ=サクソン系プロテスタントが、アメリカニズム的国家主義と歪んだ形で複合し、極端な形態をとった集団運動といえるだろう。」

それにしてもこの会員章、安っぽくちゃちな代物だが、気軽にコレクションに加えるには背景がちょっと暗すぎる・・・