徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

イタリア ヴェネチア海洋史博物館その2 ~イタリア旅行編その2~

昨日の続き。

ヴェネチア本島には自動車の乗り入れができない(本島入り口部までは可能)ので、人の移動や物資の輸送などは今も船に大きく依存している。船から下ろした荷は、船着き場からさらに手押し車(階段の上り下りに適した形に改良されたリヤカー)で運ばれていく。船と手押し車は、ここではまったく不可欠である。
おかげでここは、生活者には不便も多かろうが、散策にはうってつけの街である。

滞在中は海上バスのヴァポレット(Vaporetto)をよく利用した。無数の小さな船と行き違ったりともに航行したりしながら運河を通るのは、観光客の私には実におもしろく、目を楽しませてもらった。
ヴェネチアのシンボルとして有名な伝統的手こぎ舟「ゴンドラ」は観光用でべらぼうに高いので乗らなかったが、それでも十分に海の都の雰囲気を海上バス上から味わうことができた。

そこで目にしたのは、なぜかイタリア海軍旗を船尾につけた多くの船である。
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まさか本当に海軍所属の船ってことはあるまいなあ。まあ、ご愛敬というところだろう(たぶん)。

統一前のイタリアは小国家群で、交易で栄えた国家も数多くあった。その代表格がヴェネチアである。いかにこの小国家が富み栄えたかは、ドゥカーレ宮殿サン・マルコ大聖堂の目を奪わんばかりの壮麗さ、運河沿いに立ち並ぶ数え切れないほどの豪邸を見れば想像もできよう。それが今も我々の目を驚かせる。
いかに膨大な富がこの小国家流入したことかと。

ヴェネチアの海洋史博物館でも海軍旗を見つけた(ただし、現海軍旗は、イタリア国旗の中央にこの4つ紋章を入れたもの)。
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緋色に金色の有翼獅子はヴェネチア、白地に赤十字ジェノヴァ、青地に白の変形八角十字はアマルフィ、赤地に白の飾りのついた十字はピサを表す。古き海洋国家の栄光を表現しているのであろう。
そして、この旗をつける現代の船乗りたちも、きっとそういう歴史の栄光を誇りたいのだろうなあ、と思った。

さて、バッジ(というか勲章)の話に戻る。
海洋史博物館で見つけた勲章である。昨日紹介したイタリア王冠勲章のほか、いろいろと展示されていたのだけれど、さてそのほかのイタリアの勲章の名前なんて全然わからん私である。わが日本の瑞宝章やフランスのレジョン・ド・ヌールまで並べて展示されているのだ。
その中で、これは私がイタリアモノと知っている数少ない勲章だ。
よく見たら、マネキンも胸につけていた。
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これがその勲章。
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名称は、聖モーリス及び聖ラザロ勲章(Ordine Di San Maurizio E San Lazzaro)。2人の聖人のシンボルの十字架を組み合わせたデザインだ。
これも王国時代のモノである。もともと中世から聖モーリス勲章、聖ラザロ勲章と別々にあった勲章を合体させたというわけだ。叙勲の対象はイタリア王国に功績のあったカトリック教徒(外国人を含む)に限定されるそうである。
こういう限定がつくあたり、日本などではちょっと考えにくいのだが、さすがキリスト教国だなあと感じさせる。