徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 「労務管理士之章」

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ひと頃流行った「サムライ商法」、最近あんまり聞かないなあと思っていたが、実際には今も結構あるらしい。

つまり、「実際には公に通用しない資格を取得させたり、高額の受講料をとったりと、悪質なものを、サムライ(士)商法、資格商法という」のだそうだ。
ちょっと調べれば金目当ての悪徳商法かどうか分かるはずだし、そもそもそんなに有用な資格がただ受講料を払っただけで取得できるということ自体が不自然な話なのだが、「公に通用する資格が取りたい」、「でも難しい試験や勉強は避けたい」という心理につけ込んで、後を絶たないのも事実。

さて、画像のバッジ、紫のザブトン付きの菊紋型といかにも偉そうなのだが、なんのバッジかと裏面を見ると労務管理士之章」という文字が見える。

たまたま知人に社会保健労務の資格取得を目指しているのがいて、社労士バッジの存在は知っていたので、それに類するモノか、あるいは呼称が変わったのかな、くらいに思っていた。
(社労士バッジは、金の花形紋の中央部が黒くて、「SR」の文字が入ったもの)
ちなみに社会保険労務士とは、サイトによれば「企業の需要に応え、労働社会保険関係の法令に精通し、適切な労務管理その他労働社会保険に関する指導を行い得る専門家」であり、こちらはれっきとした国家資格である。

まあ、せっかく見つけたので購入することにしたのだが・・・
家に帰ってネットで検索してみると、あらまあ!
ぞろぞろと引っかかってくるのは、「ニセ社労士にご注意ください」公正取引委員会からの排除命令などなど、ヤバそうな情報ばかり。

いろいろ見ていくうちに分かったのは、要するにこれ、ある民間会社による「サムライ商法」なのだということだ。
社会保険労務士に名前が何となく似ているし(私も同じようなモノかと思った)、またそのような宣伝も行われていたようで、公正取引委員会排除命令(平成19年6月15日付け)は、
当該資格は公的なものではなく日本経営経理指導協会が独自に創設した資格であって,社会的に価値あるものとして高く評価され就職に非常に有利であるという事実はない。
と容赦なくバッサリ切り捨てている。
このようなバッジも、資格の権威を高めるための小道具として製作されたのだろう。

もっとも、正当な資格であっても、ネットで合格体験談などを見ていると「あこがれの○○○士バッジをつけて歩ける!」などとサムライバッジはまだまだ人気の様子。資格取得のモチベーションを高めるのには一役買っているのも事実だろう。
普通、バッジを胸につけて人前に出るというのはなんだか気恥ずかしいものだが、「公的資格取得者」とあらば堂々とバッジを見せびらかせる、という気分がそこには感じられる。

しかし、この労務管理士のバッジ、パッと見は偉そうなのだがよく見るとどことなく安っぽく、粗製濫造の雰囲気が漂うもの悲しいバッジなのだった・・・