徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 抗日戦争記念バッジ(1939年)

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1937年7月の盧溝橋事件を契機に勃発した日中戦争
日本軍は中国各地の主要都市を攻略し、傀儡の地方政権を樹立しつつ、徹底抗戦を続ける中国の切り崩しを図った。

かたや蒋介石率いる国民政府は南京陥落後、遙か内陸の重慶に首都を遷し、ついに日本の敗戦まで戦いを凌ぎきったのであった。
この時代の抗戦バッジも多数私のコレクションにあるのだが、その中から印象的な一枚を紹介しよう。

地球儀の中に、中国の国土、「抗戦」「復興」そして「民族精神」というスローガン'''を入れたなかなか堂々たるバッジである。ただなんか中国の形はちょっと変だ。
裏面には「晋○陸軍軍官教導団学兵隊 1939(2字目は不明)」とある。軍の教育組織の訓練記念か何かではないかと思う。
ここでいう「民族精神」の「民族」とは、中国で最も多数を占める漢民族ではなく、中国全体の民族をひとつと見なした、中華民族という意味で用いているのだろう。

いずれにせよ、この1939年というのは、12月には中華民国の首都・南京が日本軍により陥落し、中国は苦戦に継ぐ苦戦を強いられていたときである。この苦境を耐え抜かねばならない切迫感が、この「民族精神」という語ににじんでいるように思える。

しかし、いつも思うことだが、こういう民族主義のアオリ方は日本によく似ているなあ・・・と。「忠党愛国」だの「執矛報国」だのというスローガンも、いつかどこかで見たような感じで。まあ、どこの世界どの時代でも似たようなものかもしれないのだが。