徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 「航空救国」バッジ ~日本軍と戦った中国空軍の物語~

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「中国的天空 上―沈黙の航空戦史」(中山雅洋著、大日本絵画)がおもしろい。知られざる中国の航空史を描いた本で、著者の飛行機マニアっぷりが伝わってくる入魂の一冊だ。宮崎駿も推薦の書。

このところ、毎晩少しずつ読み進めているのだが、中華民国の幕開けとともに始まる中国航空史の黎明期から始まって、数々のエピソードが本当におもしろい。
長らく絶版となっていたのが昨年復刊されたもので、定価4,300円とやや高めだが、その分楽しめること請け合い。下巻も近々刊行されるらしいが楽しみである。

もっとも私は飛行機には疎く、本書で登場するたくさんの機種名もほとんど暗号状態。
だが著者にとってはもちろんそんなのは自明のことらしい書きっぷりで、こちらとしては「ふーん、この飛行機ってそんなに有名なんだ?」と著者と著者が想定する飛行機ファンの読者(?)とのギャップを味わいながらページを繰りつづけることになる。しょぼーん。

だが、そんな飛行機に関する予備知識はなくたって、この本を読み進める障害にはならない。
上巻は、日中戦争の前半までだが、数々の不利な条件にもめげず、日本軍と戦う貧弱ながらも戦意旺盛な中国空軍の奮闘が描かれている。
意外にも、とても強力とはいえない中国空軍は日本軍相手に大きな戦果を挙げており、日本軍もかなり苦戦していたことが日中双方の資料から明らかにされていて、そのあたりも興味をそそられる。

さて。
今日のバッジはそんなわけで日中戦争の飛行機関係のバッジだが、本書にも在外華僑や民衆の寄付金により軍用機が購入され、それが戦線に投入されたエピソードが登場する。
このバッジに見られる「航空救国」というスローガンは、中国でバッジを漁っているとたまに目にする。当時はよく使われていたスローガンのようである。
航空戦力の不足が対日戦争において深刻な弱点、と広く認識されていたのがよく分かる。

下半分のモヤモヤした形は、たぶん中国国土を描いたものと思われる。飛行機は具体的な機種をモデルにしたのではないと思うがよく分からない。
このバッジは中国製のモノだが、海外でも華僑組織では募金活動が活発に行われていたようで、海外製の
「航空救国」バッジが作成されている。