徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 まさかこのバッジが中国の博物館で!?

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   「アメリカ軍スティルウェル公路護路隊徽章」と書かれた「キティちゃんバッジ

すみませんが今回も特に書くことがないのでまたネタ話です。
中国の軍事系掲示板で発見したネタを、ぜひここで紹介したい。

中国の雲南省騰冲県にある「滇緬抗戦博物館」。2005年に対日戦勝60周年を記念して作られた新しい博物館である。中国遠征軍20集団軍司令部跡に建てられたものというが、もちろん私は行ったことがない。
収蔵品は元銀行員の個人収集家による40年来のコレクションからなっており、雲南の企業集団の協力で建てられたという。館長はこの収集家自身が務める。公設の博物館ではないようだ。

第2次大戦中のビルマ戦線。英・米・中国軍は、イギリス領ビルマから雲南省昆明に至る補給ルートを確保するために、中国遠征軍は、駐印中国軍とともに日本軍との戦いを進め、激戦の末ついに1945年1月に中印公路(のちスティルウェル公路)を開通させた。
中国としては日本との戦いにおける記念すべき勝利であり、こういう博物館が作られたわけだ。

なにしろ、中国というのは帝国主義諸国との戦いと旧体制への革命の結果、屈辱的な半植民地・封建主義国から独立国家を戦い取ったという自負から成り立っている国だ。時々こういう記念イベントをやって自らの国家あるいは民族アイデンティティを確かめたがる衝動があるらしい。中国共産党による国民支配用プロパガンダとばかりは決めつけられないだろう。仮に将来、中国の政治体制が共産党体制から民主体制に変わろうとも、この衝動がなくなることはないのではないかと思う。

まあそれはともかく、この記念すべき博物館には、戦争中の史料が6千点以上収蔵されているという。
ところが、今年の国慶節の休暇中(中国では建国記念日に連休となる)、ある中国人がこの博物館を訪れたところ展示ケース内に驚くべきモノを見つけた。それが画像のバッジ。

アメリカ軍スティルウェル公路(=中印公路)護路隊徽章」と説明があるのだが・・・これどう見てもハローキティだって、ちゃんと「KITTY」って書いてあるだろ!?
さすがにこれに気づいた中国人も驚き呆れたらしく、あとで電話番号を調べて博物館に連絡を図ったらしいがつながらなかったという。さて、その後どうなったかは不明だ。

ハローキティは、中国でも有名なキャラクターである。掲示板では、「悲しいけど、どこの博物館でも似たようなもの」「これは恥ずかしい」「なんでこんな捏造をするの?」という嘆きや、「大戦中アメリカ軍が使っていたデザインを、日本人がそのままパクッたのさ」などと皮肉なカキコミが寄せられている。

先端が丸まった六角星の形状は、アメリカのシェリフバッジを連想させるのは確かだが、さすがにいくらなんでもこりゃないだろ。ハローキティが誕生したのは70年代。この説明書きを書いた博物館の人は、デカデカと書かれた「KITTY」の文字に疑問を持たなかったのだろうか。持たなかったんだろうなあ。

こんなモノすらわからないで展示しているところを見ると、この滇緬抗戦博物館長の40年来というコレクションすべての真贋まで疑わしくなるのも当然だろう。公立博物館ではなさそうなので、ちゃんとした学芸員などもいるはずもなく、まあ日本でも妄想と誤解が満載の私設のデタラメ博物館は珍しくないので、別に目くじらを立てるほどのことはないと思うが・・・。
それにしても、コレクター歴40年の館長、今まで一体何をやっていたの??と不思議でならない。

長いことこのブログをやっているが、キティちゃんバッジは初登場。いやー、まさかこんなカタチで登場しようとはね・・・。