この前、福岡に出張することになった。私には珍しい遠方への出張だ。
福岡・・・九州の玄関口として通過することは何度もあったが、目的地として降り立つのは初めてだ。
福岡・・・九州の玄関口として通過することは何度もあったが、目的地として降り立つのは初めてだ。
せっかくの福岡。昼のわずかの休み時間を利用して、私にはぜひ見たいものがあった。それはあの有名な「国宝金印」である。
金印が所蔵展示されている福岡市立博物館は、市立とはとても信じられないくらい立派な建物。
(見学に来ている小学生が前庭で弁当中)
(見学に来ている小学生が前庭で弁当中)
入ってみると、「金印はこちら」という案内があって、これがいかに目玉展示かということがしのばれる。
さて、この金印については、しばらく前に「金印偽造事件 「漢委奴國王」のまぼろし」(三浦佑之著、幻冬舎新書)という本が出た。内容は興味深いが、「偽造事件」と断言している割には、決定的にニセモノの証拠をつかんでいるわけではなく、ものたらなさも残った。
だがむしろ、私が意外だったのは、最近では「金印=ニセモノ説」を知らない人の方が多いということだ。
だがむしろ、私が意外だったのは、最近では「金印=ニセモノ説」を知らない人の方が多いということだ。
確かに、ニセモノ説を裏付ける決定的証拠もないが、同時にホンモノだという動かぬ証拠もないのではないか。少なくとも、発見者も、発見場所も、黒田家に所蔵されるまでの経緯も、すべて曖昧・・・そもそも、なんで志賀島から発見されたかという点については、諸説あるもどれも説得力を欠く。
状況証拠としては、実にアヤシイというほかない。私もニセモノ説を支持する一人である。でもまあ、真贋論争も含めての金印の魅力、ということにしておこう。
状況証拠としては、実にアヤシイというほかない。私もニセモノ説を支持する一人である。でもまあ、真贋論争も含めての金印の魅力、ということにしておこう。
平日とあって館内はガラガラ。金印の展示ケースを一人占めして、十分に堪能した。肌の色は金の純度の高さを物語っている。傷みは少なく、土の中から発見されたものとしてはかなり綺麗だ(これをニセモノ説の根拠とする人もいる)。蛇紐(ヘビ型のツマミ)はあまり写実的でなく、知らない人が見たらヘビには見えない。点々とタガネでウロコが表現されている。
ただ、印面の「漢委奴國王」の文字は、実に力強く、紙に捺したときの朱白のバランスにも優れ、非常に美しい。たとえニセモノとしても、この字を彫った人の技量は賞賛されてしかるべきであろう。
ただ、印面の「漢委奴國王」の文字は、実に力強く、紙に捺したときの朱白のバランスにも優れ、非常に美しい。たとえニセモノとしても、この字を彫った人の技量は賞賛されてしかるべきであろう。
・・・行ってみてよくわかったのだが、十分に金印を堪能した私だが、この金印が郷土の宝になっているということをつくづく感じた。その気持ちは、とてもよくわかる。博物館の解説でも、ニセモノ説についてはまったく触れられていなかったが、ニセモノ説支持の私にしても、ちょっとそんなことをいうのもヤボだという気分になったものである。
さて、以上は長い余談でした。
せっかくなので福岡に因んだバッジを紹介しよう。
せっかくなので福岡に因んだバッジを紹介しよう。
ちょっと保存状態がよくないが、「福岡市市議会議員章」である。菊花紋の中に、市章が描かれている。
この市章が描かれた市旗は博物館前でもはためいていたが、よく見てほしい。実はこれ、カタカナの「フ」が9つ組み合わさっている形だという。
「フが9つ」→「福」、という判じ物系(あるいはダジャレ系)市章なのであった。ははあ・・・
この市章が描かれた市旗は博物館前でもはためいていたが、よく見てほしい。実はこれ、カタカナの「フ」が9つ組み合わさっている形だという。
「フが9つ」→「福」、という判じ物系(あるいはダジャレ系)市章なのであった。ははあ・・・