徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 毛沢東+革命バレー劇「白毛女」バッジ

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中国ネタが続きます。

松山バレエ団創立者清水正夫さん死去 日中交流に尽力」のニュースがあった。
松山バレエ団といえば、創作バレー劇「白毛女」!
文化大革命期には、「白毛女」は江青らによって八大模範劇のうちのひとつとなるのは周知の通りだ(もちろん松山バレエ団版とはストーリーが違う)。

余談だが、今年2月に来日した中国国務委員で前外交部長(外相)の唐家璇は、松山バレエ団の人たちと会ったらしい。こういうメニューを誰がセッティングするのか知らないが、日中友好協会の理事を務めていた唐家璇のこと、松山バレエ団と旧知の間なのだろう。

白毛女」のあらすじは次のとおり。
貧しい小作農民の娘が、悪徳地主の虐待から逃れ、山に隠れ住んでいるうちに、髪も真っ白となり、いつしか「白毛女」として村人から不気味がられる存在となってしまう。そこへ、村々を解放するためにやってきた八路軍。彼女は、軍に参加していたもと幼なじみの兵士によって助けだされる。村は八路軍の手によって解放され、悪逆な地主は打倒され、めでたしめでたし・・・。
共産党によって、因習と迷信、経済的困窮に閉じこめられていた人が解放され、人間らしい姿に立ち戻る、というテーマが込められた主題となっている。

時代によって若干ストーリーは異なるが、文革期のバレー劇版は特に勇ましく、主人公の父親は地主の手先どもに抵抗し戦った挙げ句に死んでしまうし、地主に手込めにされそうになった主人公は地主を突き飛ばしてやっつけてしまうし、そもそもラストからして、「幼なじみと仲良く暮らしました」じゃなくて、主人公も八路軍に参加し革命の隊列に加わるシーンで終わるのである。
これはもちろん、「労働者を勇ましく描かねばならない」という当時の思潮に沿ったもので、まあどの模範劇もこんな感じである。

さて、バッジを見てほしい。文化大革命期におけるアルミ製の毛沢東バッジである。
下には長い白髪をたなびかせて踊る白毛女の姿。そのポーズからしてもバレー劇であることがわかる。
文革期に成立した「白毛女」などの模範劇は、毛沢東の文芸論に基づくものであるため、毛沢東バッジの重要なテーマとなっている。このバッジは元々模範劇のセットバッジとして作られた内の一枚だと思われる。
裏面には毛沢東思想勝利万歳 内蒙古軍区政治部」とある。

最近は中国でもポツポツと上演されることもあるようで、機会があったら見てみたいものである。