徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 叙勲制度復活記念章

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戦争が起こると、国家は勲章を濫発して戦意の高揚を図るものだが、かつての日本でもその事情は同じであった。ところが、戦争が終わるや叙勲制度は事実上停止されてしまった。
しかも日本では、勲章は天皇の名において授与されるものである。新しい国家のあり方を根本から見直さざるを得なくなった戦後日本では、叙勲制度も大きく揺らぐことになった。むろん、あらゆる日本の社会制度に干渉したGHQの意向も大きく影響していたであろうことは、言うまでもない。

叙勲制度がほぼ旧来に近い形で復活したのは、昭和39年であった。ただし、軍人用の金鵄勲章は復活しなかったため、金鵄勲章復権を求める動きは一部で続いた。

さて、今日のバッジはおそらくその叙勲制度の復活にかかる一枚。
桐花の中央に「頌徳(=徳をほめたたえること)」の文字が見える。なんのバッジか、これだけでは全然わからないが、裏面を見ると「叙勲制度復活記念章 総理府賞勲部協賛 日本頌徳名鑑刊行会」の文字がズラリと並んでいる。

「日本頌徳名鑑刊行会」というのがなんなのかよくわからないのだが、字面から判断するに、叙勲者たちの功績などを掲載した本を発行したところなのではないかと思う。だとすれば、叙勲制度が復活したことは、こういう組織の人たちにとっては何よりの朗報であろう。メシの種なのだから。

叙勲絡みで商売する人たちというのは、昔も今も変わりはなかったのだろう。叙勲制度復活を記念するくらいだから、戦前から存在した組織なのではないか。叙勲制度が停止され、休業状態になっていたのが、活動を開始した、と考える方が自然だろう。

いつの間にか、この手のバッジもコレクションにずいぶん増えてきたが、実は私はけっこう好きである。
勲章の権威にあこがれる気持ちが、ロコツにあふれたグッズと感じるからだ。権威欲と顕示欲、同時に滑稽感。
それらが、ある意味勲章そのものよりも現れていて、実に興味深いアイテムだと思うからである。

あとひと月もすれば、秋の叙勲シーズンがやってくる。そして、いつの世も変わらぬ様々な人間ドラマが展開するのであろう・・・。

【この項目に関する既出のバッジ】
金鵄連合会徽章金鵄勲章の復活を目指す政治運動絡みの組織に関するバッジ?
日本叙勲者協会 叙勲者章 :叙勲者に、有償で販売していると思われるバッジ。
褒章代用章 :その褒章版。