徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 日本郵船株式会社勤功章(の箱)

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日本の徽章は、桐箱に納めるものが多く見られ、これは日本徽章文化の特徴といっていいだろう。さらにもっと高級なモノ、例えば勲章などは、黒塗りの漆箱にうやうやしく納められる。

そんな素晴らしいバッジの箱を紹介しよう。
画像の箱には、一目惚れしてしまったものだ。

金銀の蒔絵が素晴らしく、オレンジの房付きの絹紐が付いている。フタを開けると、蓋裏は金の梨地仕上げ、中には白い絹のザブトンがクッションとして入っている。さらに、写真では映っていないが、実際には桐の外箱まで付いているのだ。
なんでこんな箱を作ったのかわからないが、正体が何かといえば、「日本郵船株式会社 勤功章」である。
「勤功」章というからには、外部の人間ではなく、社員に贈られたモノに違いない。どういう人がもらえたのか、幹部クラスの人間だったのかもしれない。

日本郵船は、公式サイトによれば、「明治18年、郵便汽船三菱会社と共同運輸会社の合併により、日本郵船会社を設立」という。実に120年を超える歴史を持ち、現在も活躍する物流企業である。保有する運行船舶数では日本一というからスゴイ。
画像の箱にも描かれている日本郵船の旗は、「二引の旗」と呼ばれる。白地に赤い横線が2本入った旗で、2社の合併を表したシンボルだという。

ところでこの箱の中身はというと、実は、ない。箱だけなのだ。
肝心要の中身がないので、箱だけ買うかどうか、実は悩んだものだ。それでも、いつか中身だけ手にはいるかもしれないと決断して購入。しかし、それ以来何年も経ったがいまだに箱だけである。

失われたバッジが、どんなバッジかはわかっている。この箱に描かれたそのままの形である。神鏡の形に波紋が背景に描かれ、中央に二引きの旗と、篆書体で「勤功章」の文字がある。
実際、ホンモノの画像はネットで見たこともある。箱の中にはバッジが収まるくぼみがあり、それを見ると意外に小さい。正直、これなら箱の方がゴージャスかもしれないとも思う。

それにしても、ずいぶん気合いの入った箱である。こんなにスゴイバッジケースはなかなかあるモノではない。この豪華さは、日本郵船の格式を表現しているように思えてならない。

ああ、この箱に、いつの日か中身のバッジを収めてみたいものだなあ・・・