徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 新疆生産建設兵団 文革期毛沢東バッジ

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中国のウイグル情勢はまだまだ不安定ながら、その後暴動発生のニュースは聞こえてこない。当局の押さえ込みは当面は成功したかに見えるが、テロ組織のアルカイダが物騒な報復宣言するなど、さて中長期的にはどうなることやら。

今回の騒動を受けて、NHKなどでは報道番組が組まれたが、その中で「新疆生産建設兵団」の話が出てきた。ソ連との長い国境線をもつ新疆ウイグル自治区では、建国後からいわば屯田兵政策がとられてきた。日常では開墾や農牧畜業を行いながら、いざというときには防衛に当たるのである。
「生産建設兵団」という名称は現在も変わらず、かつてバリバリだったころの社会主義中国の香りがぷんぷんと漂うこの名前で呼ばれている。
現在では、上場企業や大学なども有する一大企業グループとなっているという。

問題なのは、この生産建設兵団は、中央との結びつきが強く、重点的に建設が進められて経済発展を遂げたのに比べ、もともと地域に住むウイグル族はその恩恵にあずかることが少なく、経済格差を広げていった。それに、大量の漢民族流入すれば、地元ウイグル族との摩擦も必然的に増える。一方は「俺たちのおかげで発展しただろ」と思い、他方は「後から来たくせに差別しやがって」と思っているわけだ。

さて、今日の一枚は、そんなわけで新疆生産建設兵団」製の文革毛沢東バッジである。
文革期の下放政策では、多数の都市部青年たちもこれら生産建設兵団に送られ、慣れない労働と過酷な自然環境の中、悲惨な生活を強いられたという。

表面自体はまったくありきたりの毛沢東バッジだが、裏面に、「慶祝毛主席万寿無疆 新疆軍区生産建設兵団」とある。
ちなみに、「万寿無疆」の「疆」の字は、略字(ツクリの部分を大胆に略した形)が使われているが、これは正式な文字ではない。細かい文字を彫り込んだ型を作るのが大変だったからだろう。この種の略字はしばしばバッジでは見られるものである。
でもこのバッジの場合、じゃあなんで下にある「新疆軍区」の「疆」はちゃんと書いてあるのかってことになるのだが、今となっては、この辺の事情は知るよしもない。・・・