徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 衆議院議員記章(第16回選挙 1928年)

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この55年以上、ほぼ政権を独占してきた自民党ですら、ここまでの大量議席は獲得したことがない。第45回衆議院選挙で、民主党が308議席の大勝利。マスコミ各社の事前の結果予測は、まずまず当たっていたのだなあ。
今回は自民党大物議員も軒並み落選、あるいは比例代表で何とか救われる者が続出した。彼らは、「バッジを失った」のである。
そう、議員さんの象徴といえば、前時代的といわれようとなんといわれようと、結局は「バッジ」なのである。

さて前回、普通選挙法記念メダル(1925年)を紹介したが、その普通選挙が実際に実施されたのは、第16回衆議院選挙(1928年)である。それまでの納税要件が撤廃され、25歳以上のすべての男性に選挙権が与えられた。その結果、それまで約300万人だった有権者数は、いっきにその4倍に急増したという、画期的な選挙であった。

今日のバッジは、その第16回衆議院選挙の議員記章(つまり議員バッジ)である。議員数は466人。労働者の有権者数が増大したことで、いくつもの無産政党が初めての議席を獲得した。

画像のバッジは、極めて保存状態がよく、退色も変形もなく、当時の形をよく残している(スキャナに乗せたのでちょっと変形して見えるが)。
ザブトンの色はクリーム色で、金線で飾った中央部がまるで花心のようにのぞいている。そして、裏側の紡錘形の留め具には、「十六回選挙」という字が見える。
古いバッジが好きな人なら誰でも知っていると思うが、製作は当時東京市芝区にあった杉村商店。いくつもの傑作バッジを生み出してきた名メーカーである。

このザブトン付きバッジは、第7回選挙で登場して以来、30年以上衆議院で採用されていたのだが、この16回選挙が最後となった。次の第17回選挙からは、全金属製の花型バッジに取って代わられたのだ。
そして衆議院では、戦後になって再びザブトン付きバッジが登場することになる。つまり、現在使われているバッジである。どういうわけか、新しくできたバッジは、赤紫色ザブトンに菊花である。

このように議員バッジはしばしば変更しているのだが、どのようにしてバッジが変更になるのか不思議に思っている。議会事務局かどこかが考えるのかなあ?それにバッジ変更の必然性は何だろう?
長い間のナゾである。
この辺の事情をご存じの方、情報お寄せください。