徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 第22回選挙(1946年) 衆議院議員記章

イメージ 1

この画像を一目見て、「衆議院議員バッジ!」と看破した人は、かなりのバッジ通といっていいだろう。
国会議員のバッジは、1890年の議会開設以来用いられ、衆参両議院(貴族院含む)とも、これまでに何度も変更を行ってきた。変更の理由はまったくわからない。単にメーカーの都合じゃないかと思うほど無秩序な変わりようであった。
特に、衆議院では戦後1940年代後半は選挙の度にバッジが変わったといっていいほど頻繁に変更されてきた。
ところが逆に、現行のエンジ色ザブトン付き菊花章は、1949年に定着し、以来60年以上も基本的な変化なく継続している。わけがわからない。
だが、このバッジは、歴代の議員記章の中でも、多少異色の存在だ。

このバッジは、1946年4月10日、戦後初めて行われた第22回選挙の時のもので、バッジの裏足にそう文字がある。日本史上、初めて行われた男女普通選挙であった。
全金属製で、白い花弁は七宝で彩られている。これまで制定されてきた、すべての衆参議院貴族院含む)の議員記章の中で、七宝が用いられたのは、この第22回選挙の衆議院バッジのみである。

しかも、第23回衆議院議員選挙は翌年1947年4月25日に行われ、5月には新しい型の議院記章が制定されたため、この白い花弁のバッジは、実質たったの1年しか現役でいられなかった。どうしてそんなことになったのか、実にナゾだ。合理的な理由はどうしても思い当たらず、ほとんど行き当たりばったりとしか思えない。
1年しか現役でなかったとなれば、これが最短命記録かと思いきや、なんとたった5か月しか使われなかったものがある。現行の衆議院議員記章が制定される直前のタイプで、1949年5月から同年10月まで。おそらく第24回選挙のバッジを補間するマイナーチェンジ版として作られたのではないかと想像しているが、このバッジはまだ入手できていない。
とはいえ、2番目に寿命が短かったこの画像のバッジも滅多にお目にかかることができず、かなり貴重な存在と思われる。

まもなく始まる衆議院選挙。多くの議員の入れ替わりが予想されるが、エンジ色のザブトン付きバッジだけはいつまで経っても変化なし。気分一新、そろそろバッジも変えてみるのもいいんじゃない、なんて思ったりして。