徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

北朝鮮 国松長官狙撃事件の遺留品「朝鮮人民軍バッジ」その1

久しぶりにニュースで取り上げられて、そうかーもう15年になるのかと思った。
1995年3月30日の朝に発生した「国松長官狙撃事件」オウム真理教による地下鉄サリン事件の直後とあって、警察はすぐにオウム真理教との関連を疑った。2004年にはオウム元信者で警視庁巡査長を犯人と断定、ようやく逮捕された。これで事件解決・・・と多くの人が思っていたのだが、具体的証拠がなく、容疑者の供述も二転三転する有様で、結局不起訴となった。
今に至るも、事件の真相は不明のまま。あと数時間で時効を迎えようとしている。

この元巡査長が、水道橋駅近くの神田川に拳銃を捨てたと供述したことから、当時、水道橋付近では大規模な捜索が行われたのを私も何度も目撃した。寒い中、真っ黒くよどみきった水の中に潜水服を着たダイバーが何人も潜り、凶器を求めて川底をあさっていたのである。
仕事とはいえ大変な・・・と、水道橋を通りかかるたび、私もその様子を見ていたものである。川の両側に、膨大なゴミが積み上げられていたのを覚えている。

さて、前置きが長くなったが、事件現場では、犯人のものと見られる遺留品が発見された。韓国の10ウォン硬貨と、朝鮮人民軍」と文字のある北朝鮮のバッジだった。
今日はそれを取り上げることにする。

このバッジは、警視庁サイトの「事件ファイル」コーナーで見ることができる。
イメージ 1

(警視庁サイト「事件ファイル」に掲載された遺留品バッジの画像)

いまいちバッジ本体の解像度がよくないが、どんなバッジかは一応知ることができる。
ところがどうも、これが何度見ても私としては不満なのである。
デザインや大きさについては明記されているものの、バッジ本体の素材や裏面のツクリなどが全く分からない。画像から見ると、七宝仕上げのようだが、それについても何の説明もないなど、どうもバッジを特定するための情報が不十分なのだ。
「稲穂」だの「歯車」だの「交叉させた小銃」だの、そんなものは画像を見れば分かるし、いちいちそんなことをなぜここで説明するのが意味不明。何の足しにもならない情報だ。「丸の中に赤い星、紺色の縁取りのある赤い旗」って、要するに北朝鮮の国旗だよね?
バッジの特徴を正確に伝達するなら、裏表両面の画像をできるだけハッキリと写し、大きさと素材を明記する。
同じデザインのバッジでも、作られた時代などによって、細部のツクリや材質が変わることはしばしばあるのだ。
そういう客観的なデータで十分だし、それ以外の情報は基本的に不要ではないかと思うのだが・・・。

犯人がわざわざ韓国のコインや北朝鮮のバッジを残していくのはあまりにわざとらしく、結局は、北朝鮮絡みに見せかけるための小道具だろう。
今日の読売新聞朝刊によると、「バッジは1958~1981年に北朝鮮で製造された人民軍記章で、ロシアなどでは購入可能だった」とある。
これが事実かどうか私には情報がないが、大量生産されたごく一般的なバッジであることはまず間違いなさそうで、これから犯人を特定するのは極めて難しいと思われる。
このバッジを巡ってどういう捜査が行われたか詳細は知るよしもないが、ほとんど無駄足だったのではないかと思えてならない。

・・・このネタ、次回に続きます。