徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

北朝鮮 国松長官狙撃事件の遺留品「朝鮮人民軍バッジ」その3

もう2度にわたって触れてきたこの件だが、警視庁の発表があったので、一応オチをつけておこう。

1995年に発生した国松警察庁長官狙撃事件については、先日15年の経過をもって時効を迎えたが、警視庁は捜査結果を昨日、ネット上に発表した。
それが、「警察庁長官狙撃事件の捜査結果概要」である。
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/nansen/h220330_jiken.pdf
これから1か月間、公開されるという。

一応目を通したが、うーん、全体に歯切れの悪い文言が続いていて、その割には結論は「本事件は、教祖たる松本の意志の下、教団信者のグループにより敢行された計画的、組織的なテロであったと認めた。」となっている。
客観的に見て、ちょっと苦しいんじゃないのかな・・・起訴できなかったのも当然か、という気になってしまった。「認めた」という表現が、実に微妙である。

それはさておき、私としては、現場に残された北朝鮮のバッジについて、警察がどのような捜査が行い、どのような結論を得たか関心があった。
1 現場捜査により判明した状況」の項で、犯行現場の遺留品についての記述がある。

(3)朝鮮人民軍バッジなどに関する捜査結果
同バッジについては、多数のミリタリーグッズ販売業者、バッジ収集家等に対する聞き込みを実施した結果、朝鮮人民軍の記章であり、日本国内で入手することは困難であること、ロシアなどにおいて同種バッジの入手が可能であることなどが判明した。」(3ページ)

と、期待したよりあっさり、簡単なものだった。「多数ミリタリーグッズ販売業者」とあるが、あの当時、ミリタリーショップに捜査員が聞き込みにやってきたという話を聞いたことがあったが、まさにこのことを指している。
「バッジ収集家等」にも聞き込みを行ったようだが、私のところには来なかった(笑)。「収集家等」となっているが、ここにはジャーナリストの惠谷治なども含まれているのであろう。

聞き取りの結果、得られた情報はただ2点だったようだ。
 1 朝鮮人民軍の記章であること。
 2 日本ではなく、ロシアなどで入手できること。

しかし、「朝鮮人民軍の記章」であることは、バッジに「朝鮮人民軍」とハッキリ書いてあるのだから、「聞き取りを実施した結果・・・判明した」もなにもない。見りゃわかるでしょそんなの、と言いたくもなる。
それから、「ロシアなどにおいて入手可能」というのも、まあそれはそうだが、私としてはロシアや東欧諸国よりも、北朝鮮グッズについては中国の方がより豊富に流通しているのではないか。ロシア経由で東側ミリタリーグッズを仕入れている店から情報を得たからこういう結論に至ったのか。
うがった見方をすれば、ロシアで射撃訓練などをしていたオウムとの接点を示唆するためにロシアと書いたのではないかという気もする。
なお、前回紹介した私のコレクション中の同じバッジは、中国から入手したモノだ。

「捜査結果概要」には、これ以外にバッジに関する記述は一切ないので、これ以上考えてもしょうがない。数少ない手がかりだが、バッジに関する捜査からは、全く手がかりが得られなかった様子がよく分かる。警察が現場で得たのは、このバッジと韓国の硬貨、発射された拳銃弾、これだけだったのだ。
思えば、事件捜査って大変だよなあとつくづく考えさせられた。ともあれ、もう時効の案件である。