徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

北朝鮮 国松長官狙撃事件の遺留品「朝鮮人民軍バッジ」その2

今日午前0時、発生から15年目で時効を迎えた「国松長官狙撃事件」。
警視庁公安部長は、記者会見で「オウムのテロ」と異例の発表を行った。そこまで確信しているならその根拠となる証拠を出せばいいのではないかと考えるところだが、それがないから起訴ができなかったわけで、思えば実に変なコメントだったが、まあ警視庁の無念だけは一応伝わったよ。

さて、バッジの話だ。
犯行現場では、北朝鮮のバッジが発見された。犯人の遺留品と見られ、その現物の画像がこちら。
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さて、このバッジがどういうものなのか。
当時、警視庁に呼ばれて現物を見せられたという、あるジャーナリストの記事が、某週刊誌に載った。彼は、北朝鮮関連の著書も数々あることから、北朝鮮に詳しい有識者として呼ばれたわけである。

私は記事が気になったので、滅多に買わない週刊誌をわざわざ駅のキオスクで買って読んだからよく覚えている。
残念ながら、何せ昔のことで、誌名(たぶん新潮か文春だと思う)やいつの号だったかはわからない。たぶん、捨てずにまだ実家の本棚にあるはずだと思うのだが・・・。
そんなわけで、内容もちょっとうろ覚えだが、ジャーナリスト氏いわく、「ピンのツクリは全く見たことのないタイプ。珍しいものだ」と意味のことを捜査官にコメントしたらしい。

その当時私はこれと同じバッジを見たことがなかったので、はてどんなタイプなのだろう?と気になっていたのだが、まあ百聞は一見にしかず。まず現物を見てみよう。後に入手した、私のコレクションである。
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左は銅製に七宝製、右はアルミ製でペイント仕上げ。デザインや大きさは全く同じだが、右の方が新しいモノであることは間違いない。画像で見る限り、左のものが遺留品と同じタイプと思われる。

では裏面はどうなっているかというと、このとおり。
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私が「刺しピン」と呼んでいるピンの形である(正式名称は知らない)。服に縫いつけるように針を通して留めるタイプだ。
改めて週刊誌の記事を読んでみると、なるほど、かのジャーナリスト氏はまさにこの刺しピン型のことを言っているのに違いないことがわかった。

しかし、妙である。刺しピン型のバッジが、北朝鮮のバッジにそんなに珍しいだろうか?
あれこれ考えてしまったが、結局、この人は北朝鮮のバッジについて、ほとんどなにも知らないのではないかという確信を持つに至った
北朝鮮には、軍関係の様々なバッジが存在しており、刺しピンタイプはメジャーではないが、決して珍しいモノでもない。古い金日成バッジにも、軍以外のバッジにも、刺しピン型のものも数多くある。
これを「これまで見たことがない」などと言い出す時点で、有識者どころか、私に言わせれば「シロウト同然」だ。

そして、そのジャーナリストというのが、北朝鮮関係で多くの著作を持つ惠谷治であった。
・・・いや、これ以上は言うまい。別に彼が捜査をミスリードした可能性はないのだ。こんなありふれたバッジから所有者を特定することなど、初めからできはしない。「バッジの線」は、初めからほとんど行き詰まりであったろう。

警視庁では31日から、捜査結果概要をネットで1か月間公開するという。ぜひ読んでみたいと思う。遺留品のバッジについて、どのような記述があるか、そこに私の興味がある。
もはや、真犯人が誰かということよりも