徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 書籍「In the Name of a Livinging God」  ~当たり前すぎるバッジが満載の一冊~

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先日はアルバニアの勲章・メダルの本を紹介したが、ひるがえってでは日本ではどうかというと、勲章に関していえば、大型豪華本が結構ある。
だが、勲章以外のバッジなどに関しては、まとまった本というのはあまりないようだ。私はむしろそちらの方が関心があるんだけど残念なことだ、などと思っていたら、実はアメリカ人のコレクターが書いた本がある。
2005年に出版されたモノで、タイトルを直訳すると「現人神の名において」。戦前戦中の国内組織のバッジがまとめられている。

で、どんなバッジがあるかというと、在郷軍人会、日本赤十字、愛国婦人会、消防関係等々・・・と、こうして書いていてもわかるとおり、我々にとってはものすごくありふれたバッジがたくさん登場する。
こういうコレクションは、日本人はしないんじゃないかと思う。だって、在郷軍人会のバッジなど、集める気にもならないじゃないか。
でも、それをやろうと思うあたりが、外国人のセンスかもしれない。確かに、ありふれたバッジでも、改めてみてみると良さを発見するときもある。ありふれたバッジかどうかは、どれほど世間に多く存在しているかという問題であって、それはバッジ本来の価値ではない。
・・・とわかっていても、やっぱりコレクションとして取り上げるにはモノとしての魅力が必要で、「ありふれてる」というのは、そのアイテムの魅力を大いに減じてしまうのもまた事実
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在郷軍人会バッジのページ。こんな感じのバッジがたくさん掲載されている。)

その点、この本はいちいちつまらないバッジ(といっては失礼だが)を取り上げていて、何でこんなモノわざわざ載せるのかなあ・・・という気分にもなるが、ある意味大したものである。
それに、いちいち取り上げてくれたおかげで、この本が参考になったこともあるのだ。
中には、市価数万~十数万円はするであろう貴重なバッジも載っている(ただし、ほとんどのモノは千円以下だと思う)。私も見たことのないバッジもある。

どうせ集めるならもっと徹底してやればいいのに、と思う部分があったり、明らかに戦後の新しいバッジが混入していたりするなど、気になる点もあるにせよ、「腐るほど大量にあるバッジを、わざわざ本に載せてくれた」という点こそ、この本の真の価値といえよう。
著者の日本のバッジへの愛情が伝わってくる一冊である。