徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 北京原人バッジ

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今の中国は、果たして共産主義国家といえるのだろうか。日本でも、「中国=共産主義共産主義=悪、ゆえに中国=悪い国」式の批判をする人もいるが、中国の善し悪しはともかく、その前提が正しいのか。

共産主義の定義を、「共産党という名前の党が支配する政治体制」とでもしない限り、現在の中国を共産主義国家とする事は不可能である。中国の共産党員で共産主義を信じている人などいないからだ。共産党員だけではない、共産主義を信奉する中国人自体、存在しないのではないか。少なくとも、本心で信じている人は、まずいないだろう。
だが、かつての中国は、かなりマジだった、と今にして思う。

北京郊外の周口店というところは、北京原人の化石が発見された遺跡として、世界遺産にも指定されている。日中戦争のドサクサで発見された貴重な化石が失われてしまい、その後中国では必死の調査を行ってきたにもかかわらず今に至るまで行方不明。まだどこからかひょっこり出てこないとも限らないよなあ、と思わせるあたりがドラマチックでもある。

今日のバッジは、おそらくは周口店観光の記念品であろう(中国では、観光地でバッジを配ることがよくある)。原人の復原像が描かれた、何のヘンテツもないバッジだ。
それにしても印象的なのが、「労働が人間を創った(労働創造人)」と添えられた一句だ。
おそらくはエンゲルスから取ったのだろうが、北京原人の存在も共産主義的世界観で捉えられていたのだ。

まあ、中国の政治文化上、現在の政治に過去の歴史を引き合いに出して論じることはひとつの伝統だったとも言える。
例えば、文化大革命の頃には、周王朝の車馬坑遺跡で、過去の奴隷時代に対する批判大会が開かれたりしたのである。批判対象が古すぎ!とも思うが、文革時代の感覚ではそれはむしろ当然だった。

そんなわけで、北京原人の存在が政治的に捉えられていたとしても不思議はないだろう。
まあ、最近の中国人なら、やっぱり奇妙に感じるはずだと思うけど・・・どうでしょうね。