徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 帝国電灯株式会社賞牌

イメージ 1

10月ともなるとさすがに過ごしやすい気候で、今年の節電騒ぎも冬まではひと休み。
原発事故も、ひと頃はどうなることかと気を揉んだが、綱渡り状態ながらようやく冷温状態が実現して、これ以上の大規模汚染の心配は遠ざかった感がある。もっとも、これまで手つかずだったこれまでの後始末がまだまだ待っているわけだが・・・。

最大の責任企業である東京電力も、いろんな批判にさらされている。東京電力だけではない、日本の一般電気事業者は各エリアに分かれて10社が存在しており、今後原発をどう取り扱うのかという難問に直面している。進むに進めず、といってやめようと思っても簡単に止められるものではない。
これをキッカケに、電気会社の再編にもつながっていくかもしれない。実際、明治から戦前にかけては中小の電気事業者が乱立、合併と分裂を繰り返してきた歴史があった。

今日の一枚もその歴史を偲ばせるモノ。「国電灯株式会社賞牌」である。現在は存在しない電気会社である。現在の西武鉄道は、帝国電灯の鉄道部門を引き継いでいるらしい。
1914年(大正3年)から1926年(昭和元年)まで存在した会社で、五大電力会社のひとつの東京電灯に合併され、戦後、東京電力に引き継がれて現在に至る。

このメダル、「賞牌」という名称からして時代がかっているが、箱の蓋裏に「鈴木梅吉」のシールが貼られている。日本帝国徽章商会の創業者の名である。メダル裏には「帝国電灯株式会社」と文字が見える。
「賞牌」というが、一体どんな「賞」であったのかは不明である。率直に言えば安価なツクリである。
表面に描かれているのは、もちろん自由の女神であろう。が、なんだか寸詰まりな感じで、自由の女神というより天を指すお釈迦様を思わせる風貌。
ホンモノの女神像は左手に銘板を持っているところ、このメダルでは「賞」の文字を手にしているところもどこかヘン。崇高さよりむしろおかしみが漂う出来栄えだ。

以前、当ブログでイギリスの電気労働組合のバッジを紹介したことがあったが、そこに書かれているスローガンがまさに「LIGHT & LIBERTY」なのであった。
20世紀に普及した電気は、人類を暗闇から自由に解放したのである。自由の女神が手にする明かりと同じではないか。

【既出の関連項目】
イギリス 電気労働組合バッジ