日本 国立科学博物館バッジ
先日、久しぶりに上野の国立科学博物館へ行ってきた。子供の頃から何度となく行ったなじみの場所だが、リニューアル以降はほとんど行ったことがなく、ちょっと新鮮な気持ちで見学した。
新館(地球館)はもとより、旧館(日本館)も展示場所やディスプレイが大幅に変わっていたりで、まるで知らない場所に来たような気分。全体の印象としては、明るくきれいになった。でも、昔の雰囲気に慣れ親しんだ身としては、あの薄暗く、かすかに漂ううらぶれた雰囲気がすっかりなくなってしまったのがさびしく感じた。中庭に面してあったちょっと殺伐とした感じの食堂などももちろん今はない。どこにあったのかすらよくわからないほど、すっかり変わった。
博物館は、そもそも奇妙なモノを収集した「驚きの部屋」から始まっている。科学的学問的観点など、あとづけに過ぎず、人々の好奇心を刺激する珍妙なモノ、怪しいモノをこれでもかと集めた施設が母体となっている。いかに科学のコロモを装おうとも、博物館にはそういう古い時代の名残が、かすかに妖しげな陰となって残っているのだ。
だがこうも明るく洗練された機能的ディスプレイがどんどん導入されていくと、その怪しくも魅力的な陰がどんどんなくなり、私としてはつまらないなあと思うのだがこれは単なる懐古趣味か。まさに上野の科学博物館がそうなのであった。
だが、妖しい魅力を味わえる博物館はまだまだある。私のオススメは岡山県津山市にある津山科学教育博物館。その道のマニアにはつとに有名である。ぜひ多くの人に訪れてもらいたいものだ。すぐ傍の津山城は、桜の名所としても知られる。高台にある城址からは、中国山地の眺めも良く、山陰を間近に感じられる景色が素晴らしい。