徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

ルーマニア 国境警備有功章(多色七宝)

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なんてことのないバッジと言ってしまえばそれまでだが、よくよく見ると・・・うーむ、これはなかなか・・・
ルーマニアのバッジで、銃を携えた兵士の様子からも大体わかるとおり、国境警備関係のモノ。社会主義国に共通して見られる意匠である。下のルーマニア語を訳せば、「国境有功」とでもなろうか。

このバッジで目をひくのは、なんといっても七宝の色の多さである。さあ数えてみよう。

星と国旗の不透明赤、星中央と国旗の、星外側と人物背景の薄い水色。外周の歯車の透明赤、麦穂と国旗と太陽の、文字背景の。軍帽と森の黄緑、軍帽ツバと右側建物?の、軍服の透明緑、銃の薄茶、背景の山の灰色、建物と橋?の白、川の水色
大体こんなところだろうか。何色かと数えてみると、なんと13色
ここまで多色の七宝使いは珍しくはあるまいか。

なんでこれほど多色を用いたのか、その意図はわからない。空と川の水色や、上部の星と歯車の赤など、同じ色にしてもなんの支障もなさそうなところ、わざわざ微妙に異なる色を用いている。兵士の背景にしたって、もっと色を省略しようと思えばいくらでもできそうなところ、別々に塗り分けを行っている。
うーん、どうしてかなあ・・・考えたところでわかりゃしないが、この塗り分けにこそ、このバッジへの制作者のこだわりが込められているのである。

七宝のこだわりが細かい割に、描線がやや太くて繊細さに欠け、全体に野暮ったい感じになってしまっているのが惜しい。
この辺の仕事(型の製作)がもう少し丁寧だともっともっと素晴らしいバッジになったんではないかと思う。