徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

北朝鮮 金日成バッジに見るバッジの進化と発展

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2度目の米朝首脳会談が間近に迫って、また北朝鮮関連ニュースが増えてきた。
北朝鮮の例の3代目と前代未聞のアメリカ大統領というこの組み合わせ、水と油じゃなくて、実はお似合いなんじゃないかという気がしてきたがどうなんだろう。

それはさておき。
最近久しぶりに金日成バッジが入手できた。この類似のタイプはすでにもっているが、並べてみると改めて発見があったのでそれを紹介したい。

このタイプの金日成バッジは1960年代のものと推測している。平行四辺形型の国旗に金日成の横顔浮き彫りの肖像を入れたバッジ。このタイプはかなり数が作られたと見えて、いつしか私の手元には10個以上が集まってしまった。

冒頭の画像は、、細部に違いがあるバッジを4つ並べたもの。

①と②は、七宝色、国旗の形、肖像部が別パーツになっていることなど酷似している。ただ、国旗の透明七宝部分の下地が、①では梨地(細かい凹凸)になっているのに対し、②はフラットである。また、肖像も微妙に違っている。

次に、③。これは①②に比べると相違点が多い。
まず国旗部分。星が大きい、国旗の旗竿が折れにくいよう太く短い、七宝仕上げながら赤七宝が不透明、国旗の折り返し部分の一部に赤線部分が見えている。
そして、肖像部は、別パーツでなく一体成型、何よりも軍服姿である。

④はどうか。
国旗部分のツクリ自体は③と似ているが、最大の違いは七宝ではなくペイント彩色であることだ。
肖像部は①②と同様人民服姿らしい。ただしよく見ると襟から下が描かれていない

この4パターンを並べてみて、何がわかるだろうか。ひとつは製作時期の違いである。
①と②では、おそらく①のほうが古いような気がしている。肖像が特徴的で、髪型といい顔立ちといい、①の肖像は、他の金日成バッジではあまり見ない。②のほうがまだ他の金日成バッジに近いと思う。
したがって、①のバッジから、肖像が「改良」されて②になったのではないかと考えている。

③と④は、①②よりも後期のモノであろう。
なぜなら旗竿部が折れにくい形状になっていること、旗の折り返し部に赤い線が覗いていることなど、製法・デザインに進歩がみられるからだ。
①②の旗竿は、見るからに破損しやすい形状で、その点がはっきり異なるのは、改良以外に考えられない。実際、私は過去、この型のバッジで旗竿(特に下の細い棒のところ)が破損したモノを何回も見ている。
また、旗の下部に除いている折り返し部分に赤線が見えている点も改良といえよう。
どうだろう、①②のバッジを先入観なしに見たとき、旗がたなびいている様子を表現しているとパッと見わかるだろうか。正直、ちょっとわかりにくいのではないか。
まあそれを言うと③④のバッジも同様かもしれないが、そこを少しでもわかりやすく表現しようという製作者の意図を感じられまいか。
また③④では肖像が一体成型されており、これは製法の簡略化といっていいだろう。

普通に考えれば、七宝製からペイント彩色に簡略化したと考えるべきだろうが、人民服肖像と軍服肖像の違いは、なにか配布対象者の違いを意味していることも想像されるので、③から④へ変化したとは考えにくい気がしている。が、制作時期の順については、①→②→③→④であろうと推測できる。
その変化は、デザイン上に工夫を加えつつ、製作工程の簡略化が図られていった結果であろうと思われる。

この他にも細かなパターンの違いを持つ同種バッジが存在する可能性は高い。それらを並べてみることでよりこの型のバッジがどう進化発展していったのかよりはっきりするだろう。
それを集めるのが楽しみだ。