徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

アメリカ 「労働者の日」バッジ

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日本の「勤労感謝の日」と、アメリカの「労働者の日(Labor Day)」は、趣旨自体は似ているものの、由来はまったく異なる。勤労感謝の日は、もともと新嘗祭が起源だが、労働者の日は、労働者の抗議行動から始まったものだからだ。

時は1882年9月5日、ニューヨーク市で2万人の労働者によるデモ行進が行われた。労働者の結束を示したデモだったが、実際には穏健な抗議デモであったらしい。
1894年には、クリーブランド大統領が労働者の支持を集めるために、この大規模デモを記念して、労働者に敬意を払う日ということで、9月の第1月曜日を国民の祝日とした。これが労働者の日である。

このバッジは、1907年の労働者の日の記念バッジである。一目見て気に入った。
昇る太陽は、明るい未来を暗示したものか。海を行く船、疾駆する機関車、高層建築やクレーンは、社会の発展を示している。
左のヒゲの男性はハンマーを手にしていて、機械工らしい雰囲気。右の男性は歯車を手にしており、こちらは船員風のいでたち。2人がともに手にしているのは月桂冠に囲まれた、ハンマーを振り上げる腕のシンボル。
このブログでも何回も取り上げたとおり、このいかにもプロレタリア風なシンボルマークは、アメリカの社会主義政党「SLP(Socialist Labor Party)」のそれである。SLPは、1876年に成立したアメリカでは最も古いマルクス主義社会主義政党だそうだ。

アメリカでは、労働者の日は、かつては政治的左翼的な色彩を帯びていたものの、現在ではすっかりただの休日と化しているらしい。

2人の男がいい味を出していて、見ていて微笑ましいバッジである。