徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

台湾 中華民国十大経済建設記念章

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1970年代初めの頃のこと。
中華人民共和国は、アメリカとの関係改善、日中国交正常化、国連加盟と立て続けに国際的立場を強化していった。それは、中華民国(台湾)にしてみれば、アメリカや日本などから見捨てられ、国連からも追い出されたということを意味する。晩年の蒋介石の心中は察するばかりである。
しかし、蒋介石の長男蒋経国は、のちに中華民国総統に就任するが、経済建設を積極的に推しすすめ、国力の増強に尽力した。その象徴が、「十大経済建設」と呼ばれる大規模インフラ整備であった。

画像のバッジは70年代のシロモノと思われるが、こんな土産ものバッジにまでなっている。
ちなみに国軍歴史文物館というのは、台北にある軍事資料館である。私も台湾旅行の時是非行こうと決心していたところ、あいにく閉館で入れなかった思い出がある。しかし、中は見られなかったが、巨大というほかない北京の軍事革命博物館に比べれば、桁違いの小規模な建物で、えっこれだけなの?と拍子抜けした記憶がある。
このバッジは昔、そこで土産用に販売されていたのであろう。

それはさておき。
十大建設の中を見てみよう。台中港、造船廠、鉄路電気化、北廻鉄路、核能発電廠(=原発)、石油化工、錬鋼廠、高速公路、蘇澳港、桃園国際機場、である。固有名詞の入っているモノとないモノがあって、つまり個別の建設物だけでなく、経済分野別項目がけっこう混ざっているのに気がつく。
交通、重工業、エネルギーの各分野にわたっており、これによって台湾は経済新興国(地域)の一角に食い込むことに成功したのである。いまだに台湾では蒋経国の評価が高いが、それはけっして彼の人柄だけによるものではない。
共産中国と厳しい対峙を続けながら、経済成長の礎を築き、さらには民主化への道を開いた。例えば北朝鮮と比較してみれば、ありようの違いはあまりにも明白である。北朝鮮であるのは、空疎な記念碑的な建設自慢にはことかかないが、実質的な経済インフラは貧弱そのもので放置されたままである。

バッジ自体は安価な土産ものなので、特にコメントするほどのモノではないのだけど・・・。