徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 湖北省内河航輪管理局徽章

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ひどい事故もあったもので、中国の長江で旅客船「東方之星」号が転覆、400名以上の乗員乗客はほとんどが死んだと見られる。事故直後は、船内に取り残された人の反応があるという報道もあったものの、救助することはできなかった。

救助を信じつつ助からなかった被害者には、本当にもう言うべき言葉がない。合掌を捧げたい。

政府首脳も危機感を持っていたと見え、当初から関係機関全力で救助に当たるよう檄を飛ばしていたが、救助活動が本格化してから助けられた人はほとんどいなかった。少しでも救助者がいればこれを大々的に宣伝して、「人民のために尽力を惜しまない政府」を大々的にアピールできただろうに、と思う。

結局、韓国のセウォル号事故と似たような結果となってしまった。このような惨事となってしまった以上、船長らが責任を問われる展開になっていくのだろう。そうならなければ、国家権力が困るのだ。
が、実際は単純な話ではない。事故は起こるべくして起こった面が大きく、船長のせいにして済む話でない。

安全の確保というのはもともと大変コストがかかる。安全確保のためには、膨大な人的コストを払って法的にも行政的も複雑で厳しい制度を設計し運用なければならず、管理会社や一般利用者は、重いコスト払ってそれを遵守しなければならない。
そのコストから目を背け続ける限り、どんなに経済が発展しようと、必ず惨事は繰り返し起こる。これは、軍事力を増強するよりもある意味困難な重大事業なのだ。今の中国に(韓国も?)それができるだろうか。

日本もこういう事故は他人事ではない。すでに日本は超高齢社会である。それに対応した安全性確保のための規制はいかにあるべきか、繰り返し点検と改善を進めねばならない。

事故のあった長江流域は三国志の英雄たちが戦った歴史の舞台である。昔から経済の大動脈であり、経済の要衝でありつづけた。
この一枚は、まさに事故現場となった湖北省の河川交通管理機関の職員徽章である。中華民国時代、1940年代のものと推測する。おそらく現在も同様の組織は存在するだろう。
錨をシンボルマークを中心、「湖北省内河航輪管理局 職員証」の文字が囲む。表面は平滑に研磨され、シンプルなデザインがいかにも公共機関的な雰囲気だ。

それと、当ブログは今月をもって、ついに10年目を迎えました(2005年6月1日開始)。
今後もゆるゆる~と続けていきますので、どうぞおつきあいのほどを。