徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中華民国 国民党軍帽章

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さて、今日も中国の青天白日章なのだが、戦前のブツであるので、中華民国の名称を使わせてもらう。

これは正真正銘の古いもので、興味深いことに、元々の所有者による由来書きがついている。
支那軍戦帽記章 昭和十三年九月五日河南省温縣戦闘ノ際捕獲 蒋直系ノ中央軍使用ノモノ。」
今から67年前、一介の戦闘員であった日本兵が、中国軍との戦利品として中国大陸から持ち帰ったものである。直系約30mm。銅製で七宝仕上げである。

私は中国の古いバッジに関心があるのだが、たまに日本でもこのようなものが見つかる。私は、日本と中国の戦争は極めて不幸で忌まわしい出来事であったと思っているが、自らの生命を危険にさらして闘った証拠を欲しがる兵士の心境は、なんだかよくわかる。
いや、日本兵だけではない。中国兵も、アメリカ兵も日本軍モノを戦利品として欲しがった。みんな命をかけて闘い、生き残った証拠が欲しかったのだと思う。まあ略奪的行為はいくら戦場でも犯罪と嫌悪せざるを得ないが、「欲しい」という気持ち自体は、正直、よくわかる。

新国家のシンボルとして、青天白日旗を推す孫文に対し、辛亥革命の指導者のひとりであった黄興らは「日本の国旗に似ている」として反対したのであった。黄興は、土地の公有を定めた古代の井田制にヒントを得た「井字旗」を主張した。

思えば、日中戦争とは、「赤い太陽」の国=日本と、「白い太陽」の国=中国との戦いなのであった。
この帽章を戦場で手に入れた日本兵も、ひょっとしてそのようなことに思いを馳せたであろうか。・・・