徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

オーストリア メーデーバッジ(1913年)

メーデーバッジ(1913年、オーストリア

早いものでもう5月。ゴールデンウイークだ。今日は一日すっきりしない天気で、それをいいことに終日自宅でゴロゴロしていた。平和だ。

さて、今日はメーデーということで、その関連バッジを紹介しよう。

画像のバッジは、1913年オーストリアメーデーバッジである。てっきりドイツ製かと思っていたのだが、モノの本によるとオーストリア製と判明した。

1913年のオーストリアといえば、オーストリアハンガリー二重帝国時代。それも、1908年に併合したばかりのセルビアサラエボ事件が勃発(1914年6月)、これをきっかけに第一次世界大戦が始まった。そのサラエボ事件が発生する前年のバッジということになる。

20世紀初めの頃のオーストリア製のメーデーバッジは、現代のわれわれがイメージするような社会主義的な意匠は当然ながらまったくなく、浮き彫りにされた人物表現は写実的である。

1MAI1913」、「MEHR ARBEITERSCHTZ!(もっと労働者保護を!)」のドイツ語のスローガンが下部に見える。

描かれた男女は、労働者なのだろう。うつむきくたびれた姿である。女性が両手で抱いているのは子供の頭部であろうか。ひげを蓄えた男性も、つるはしを肩に、片手で腰を押さえるようなしぐさで、いかにも重そうな足取りだ。背後には黒煙を吐き出す工場群が描かれている。労働者の置かれた過酷な環境を感じさせる、全体に暗澹とした雰囲気のバッジデザインである。

薄い銅板にプレスされた簡単なツクリながら、人物表現の造形がすばらしい。

もともとバッジの裏面にはリボンを取り付けるパーツがあるが、オリジナルのリボンは失われている。

 

過去紹介した20世紀初頭のオーストリアメーデーバッジを再掲する。

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