徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

オーストリア メーデーバッジ(1900年)

イメージ 1

いよいよ今年も残すところわずか。毎年のことながら、あわただしい年の瀬である。引っ越しの混乱がまだ完全に終わってないのだからなおさらだ。

コレクションの方も、今年一年を振り返って、あんなものやこんなもの手に入ったなあ・・・と回想するのだが、実は今年は「コレが今年の一番!」と思えるものがないような気がする。いわば、バッジ・オブ・ザ・イヤーだが、今年は該当なしとなりそうな気分。
もちろん良いモノがなかったわけではない。良いモノはたくさんあったし、十分に満足すべき成果であったが、もうひとつ、なにか心からビックリできるような一点があったらなあなどとつい高望みをしてしまう。

まあ今年はそんな状況だったが、せっかくなので、今年入手した名品紹介ということでこのバッジをとりあげよう。
1MAI 1900」の文字が入ったこのバッジは、1900年のおそらくオーストリアウイーン製のメーデーバッジである。
国際的にメーデーが労働者のイベントになったのが1890年のことだから、ごく初期のメーデーバッジということができる。このバッジのデザインには、社会主義的なニオイはまったくなく、むしろ古典主義的な様式である。ロシア革命もまだまだ先の19世紀末は、メーデーバッジといってもこんな感じだったのだ。

それにしてもどうであろう。
たなびく赤旗や、特に中央の女性像の表現といったら。このバッジ、実はツクリ自体はかなり簡単で、薄い金属板でできていて、それをプレスして針を取り付けただけのバッジなのだが、実に素晴らしい表現力ではないか。
なお、中央の人物だが、花輪に囲まれた女性像であることから、春の象徴である女神フロラじゃないかと思うのだがどうだろうか。

今やこれから100年以上経つわけだが、技術の進歩について、つい考えさせられる。事実上、もはやこのようなバッジは作れなくなってしまったのだ。名品である。