徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 帝国水難救済会二等有功章

帝国水難救済会二等有功章

 

今年4月23日に発生した知床観光船沈没事故は、国内で起きた事件としてはまず今年上半期で最悪だろう。なにせ乗客乗員26名が全員死亡または行方不明となった。事故の結末としてもあまりに悲惨である。

なんでこんな事故が起こってしまったのか、興味を持って報道を見ていたが、私には不可解な点がいくつもあってどうにも解せない。今後の原因究明を待つほかない。

航空事故など、ごくごくわずかのミスや機械の不具合などが、深刻な事故を招くことがある。だが、今回の事故はあまりにもなんというか、あまりにもダメな点が多すぎるような気がしている。報道で見る限り、会社の安全管理体制も全くずさんという他ないが、実は観光船の実態などもしかしたらこんな程度のものかもしれないとも思ってしまったのも事実である。

テレビニュースでは、日本水難救済会の人が事故について解説していたのを見た。

公式サイトによると、日本水難救済会についてこのように説明がある。

公益社団法人 日本水難救済会(マリン・レスキュー・ジャパン)は、沿岸海域で遭難した人や船の救助に駆けつける民間ボランティア救助員を支援するとともに、遥か洋上の傷病船員等に対する救急医療事業を運営する団体です。

長大な海岸線を持つわが国では、水難事故が発生した場合、公的な救助活動だけではどうしても限界がある。そこで様々な関係者が連携してボランティア活動を行っているのである。

現在の日本水難救済会は、明治22年に発足した大日本帝国水難救済会が元となっている。

明治37年帝国水難救済会、昭和24年から現在の日本水難救済会に改称されている。

 

画像のメダルは、帝国水難救済会二等有功章である。

メダルのデザインを見てみよう。救助用浮き輪の中に描かれているのは、荒れ狂う海に翻弄され、助けを求める2人の人物が見える。波は船を超えるほど高くうねり、傾いたマストにしがみついた人物は、救助を求めているのだろうか、片手で布を振っている。丸い枠の外側にまで波がはみ出し、荒れる海の激しさを表現している。

本体のメダルを支える金具にも波模様が描かれていて、なかなか芸が細かい。

なお、同じ有功章の三等も手元にあるが、メダルの色が全体が銀色である。二等が周り(浮き輪の部分)が金色で内側が銀色なので、おそらく一等は全体が金色なのであろう。

 

「大日本」時代(明治22~37年)の有功章を再掲しておく。デザインは似ているが細部がいろいろ異なっている。周囲の浮き輪の表現は古いタイプのほうが立体的で、よくできているように思う。

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