徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

オーストリア メーデーバッジ(1910年)

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自分としてはやっぱり古いバッジを紹介している方が、再発見することもあったりして楽しい。
新年2回目の今日は、20世紀初頭のバッジを紹介しよう。

画像は、1910年製のメーデーバッジ。調べてみたらオーストリア製であった。
「ALTRES INWALIDITAS-WEISEN, WITWENVERSPRGUNG」「1 MAI 1910」とある。まあ要は、老人や孤児、未亡人への社会保障を訴えるスローガンということだろう。

メーデー1886年に起こったアメリカの労働者ストライキに起源を持つ。これが後に国際労働日としてのメーデーとなった。
20世紀初頭のメーデーバッジでは、当然のことながらデザインに共産主義色はなく、スローガンも労働者の権利拡大や社会保証所充実を訴える内容である。デザインも写実的な表現が多く、見事なモノもある。
このバッジは、薄い金属板をプレスしたツクリで、ごく簡単な成型だが、なんと言っても人物像の表現が素晴らしい。
スローガンからして、2人の子供は孤児、奥に見える被り物をした女性は寡婦を表現しているのだろうか。
左に見える腰の曲がった2老人は、1人は杖をつき、もうひとりは左手を引かれているところを見ると盲人なのであろうか。右に立つ女性は、あたかも女神。後光が差し、片手を挙げた姿に人々が集まっている。
実に素晴らしい表現力だと思う。

このバッジ、本来であれば下にリボンがついていたはずである。裏に爪状の折り返しがあり、そこに細いリボンが挟まっていたはずだが、現在は失われている。銀メッキもだいぶ剥げている。
それでも古さを感じさせないツクリはスゴイ。誰が作ったモノか知る由もないが、敬意を表したくなるほどだ。