徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 大日本蚕糸会有功章(1等~5等)

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大日本蚕糸会有功章(上段左から1等、2等、3等、下段左から4等、5等)

日本の代表的産業である養蚕業を支えてきた大日本蚕糸会は、会員数も事業規模も大きかったようで、大そのバッジやメダルの類は豊富である。種類が豊富なだけでなく、この会の有功章や功績章は高品質なものが多く、私は前から関心を持っていた。

そして最近やっと1等~5等の有功章がそろったので紹介することとしよう。

ここにある有功章は、実はメーカーがバラバラである。
1、3等は大日本徽章商会、2、5等が安藤七宝店、4等が東洋徽章製作所である。なお、5等はこの他にもう1個持っているが、それは東洋徽章製作所である。
なぜメーカーが異なるのかといえば、おそらく時代による違いとしか思えない。ということは、ここに挙げた5つの有功章が作られた時代はバラバラなのだろう。
私の手元にあるコレクションでは、この3つのメーカーしか確認できなかったが、この他のメーカー製のものも存在する可能性もある。
それでも、微妙な違いはあれど、時代やメーカーなどによる差はほとんど感じられない。

では、ずらりと並んだ有功章を子細に眺めてみよう。

まずおもしろいのは、等級が1つ上がるごとに蛾が1頭ずつ増えていくことである。
この関係は、「蛾の頭数=9-等級数」の式で表すことができる(ただし等級数は5以下の自然数)。

1等になると8頭ものカイコガが周りを囲んでいて、隣り合う蛾の羽がかなり重なり合っている。
このブログでは大日本蚕糸会のバッジやメダルを何度か取り上げてきており、かつて私は、有功章は各等級間で「蛾の数以外はすべて一緒」と書いてしまったが、これは誤りである。

よく見てほしい。金メッキの入っている部位が、等級により違っている。
1等:すべて金
2等:女神を囲む桑の枝葉のみ銀、他はすべて金
3等:女神とその周りの繭型のみ金、他はすべて銀
4等:女神のみ金、他はすべて銀
5等:すべて銀

このように、メッキが薄れてしまっているものもあってわかりにくいが、等級によって明確な差をつけているのである。新品状態であればもっとハッキリ違いがわかるだろう。

なお、メーカーが異なるためか中央の女神の顔や姿に微妙なずれがあっておもしろいが、桑の枝葉や、外側を囲むカイコガはよく観察されていると思う。特に蛾のモコモコした腹部や、翅脈など、よくよく見ると単純化されていながらも特徴をしっかり捉えており、感心する。

こうして5つ並べると壮観である。
ああ、そろうまで結構時間がかかったなあ・・・