徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 首都衛士記念章

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うう、今夜も冷える。
でも、こんな夜は茶が美味い。今夜は鉄観音茶をすすっているところです。なんという香り。嚥下したあとも、不思議な甘みがなぜかふんわり口の中に残って、えも言われぬ風味が鼻に立ち上って、ああすばらしい。

さて、先日、小さなニュースを見つけたのです。
少々長いが、時事通信からの引用です。

「1日付の英紙サンデー・テレグラフは、イラク戦争に参加した英兵に贈られる従軍勲章数十個がインターネットの競売サイトで売りに出されていると報じた。イラク駐留英軍が今も戦火にさらされる中、受章後わずか数カ月で手放す兵士もいるとの報に、軍幹部らは失望しているという。
 同紙によると、従軍勲章は既に9万個以上授与されているが、これまではほとんど売りに出ることはなく、その希少性から最高数百ポンドの値が付くという。大衆紙サンデー・ミラーによれば、工兵隊の伍長が競売サイト「イーベイ」で売りに出した従軍勲章は276ポンド(約5万6000円)、また兵たん部隊兵士の勲章は261ポンド(約5万3000円)でそれぞれ売却された。(中略)同紙は、抗議の意味で兵士が勲章を捨てたベトナム戦争と同じような状況だと分析している。」

私にいわせれば、9万個も濫発しては、いっちょ売りに出したれや、と思うヤツが出ない方が不思議。このメダル、私も画像で確認しましたが、これで5万もするのが信じられないくらい、つまんねーメダルなんです(←私の好みの問題。すみません。)。
ネットオークションには旬というのがあって、時事ネタのアイテムは高値が付く。売りに出そうと考えるのが出るのは当然で、別に大した話じゃないんじゃないか。
イギリス人ってマジメだな、と思いました。
(昔、イギリス最高位勲章であるガーター勲章が売りに出されたときは、英政府だったか王室関係だったかが、オークション主催者に抗議したという事例があった。)

このニュースを見て、私が思い出したのが、中国の「首都衛士記念章」。
裏面には、「中央軍委贈」「首都衛士記念章1989年6月」とある。
そう、1989年6月4日、天安門広場を占拠した学生などに武力排除した人民解放軍部隊に与えられた記念メダルです。あの天安門事件(中国では一般に六・四事件という)のときのもの。

キンキラキンで、大仰な割には安っぽいメダル(←もちろん私の好み上の問題)。アイテムとしての魅力は乏しかったのですが、私にとっては天安門事件というのはリアルタイムの中国を考えさせられた大きな出来事だったので、あえて購入したという思い出深い一品です。確か、また事件の記憶が生々しかった頃だったと思います。こんなメダルがあったのか、と驚いた。

画像を見てみましょう。
略章と本体メダル。本体の上の部分に書かれた「首都衛士」というヒョロッとした感じの字は、見覚えのある人も多いと思うが、中央軍事委員会主席、武力介入の命令を下したトウ小平の揮毫したもの。
五角星と中央には天安門。その下には「1989.6」。そして銃。

このメダルを私に譲ってくれた人は、たいそう中国事情に詳しい知人だったのですが、こんな話をしたのです。「このメダル人気がなくってね。もらった軍人さんたち、みんな売っちゃうらしいんだよね。」。

いつの日か、もしかしたら天安門事件が再評価されるときが来るだろうと思うのですが、とりあえずその時までは手元に残しておこう、とその話を聞いて思ったものです。