徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 新彊民族軍三区革命記念メダル

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中国新彊ウイグル自治区ウイグル族は中国の代表的な少数民族で、イスラム教を信奉している。中国の街にはたいがいどこでも「清真」と書かれた青い看板のレストランがある。豚肉料理を出さない、ウイグル料理を出す店だ。もちろん客はウイグル人だけじゃなく、普通の漢民族も羊料理などを楽しんでいる。
店の中にはたいがい装飾的なウイグル文字(アラビア文字?)が飾ってあったりするが、おそらくはコーランの一節が書かれているのだろう。そしてメッカのカーバ神殿のポスターなどもよく見る。

漢民族とは文化が異なる民族で、20世紀に入って三民主義を掲げる中華民国が誕生するが、新彊では独立運動が勃発。クルジャ・アルタイ・タルバガタイを支配したことから、これを「三区革命」という。
第二次世界大戦末期には、ソ連の支援を受けて東トルキスタン共和国が生まれる。まあ結局はソ連と後に誕生した中国共産党政府との意向で、中華人民共和国編入される。いまでもウイグル独立派が過激な行動に出たりするが、この辺の経緯も大きな影を落していると見るべきだろう。

もっとも公式には、国民党政権に対する新彊独立闘争は、共産党からポジティブな歴史評価を受けている。敵の敵は味方、というところなんだろうか。国民党と共産党は、日本敗戦後の大陸の主導権をかけた闘争に突入するからだ。新彊民族軍は後に人民解放軍に吸収され、一部高級軍人も輩出する。

しかし、この戦いは、共産党政府からは反国民党闘争という側面は評価されても、民族独立運動という本質は決して評価されることはない。もちろん今でも独立運動自体は反国家主義と警戒されている。どうも都合がいい解釈しかしないなあという感じもする。

このメダルは、とても貴重な三区革命記念メダルである。
イスラムの象徴三日月と星のデザイン。
とても特徴的なのが上のリボンの部分で、芯に薄い金属板を入れて緑の布で覆い、上から2本の薄い金属を巻いて固定している。ソ連式とも、中国式とも全く異なる独特のものだ。
もちろん緑はイスラムの神聖な色である。

裏面にも「1946」と年号がデカデカと刻印されている。

メダルになんと書いてあるか知りたくて、友人を通じてウイグル人に聞いてもらったところ、「フィダーイ=義勇兵」という意味だとか。
そこでひらめいた。アラビア語でフェダイーンといえば戦士のことだ。おそらく同語源の単語なのだろう。

とても素朴なツクリのメダルだが、ウイグルの歴史上意義深い一品である。