徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

日本 紀元二千六百年記念バッジ

イメージ 1

紀元2600年というのはもちろん神武天皇即位紀元皇紀、神武暦とも)のことで、1940年(昭和15年)のことである。

この年、政府はさまざまな国家イベントを行ったが、このバッジもそうしたイベントの記念品と思われる。裏面には「紀元二千六百年記念 紀元節奉祝会」とある。

1940年に開催が予定されていた東京オリンピックも2600年記念イベントの一環であったというが、すぐに収束すると見られていた中国との戦争は拡大の一途をたどり、国内外からオリンピックの中止を求める声が高まる。
結局は1938年に日本が開催権を返上する形で、幻のオリンピックとなった。

戦局の拡大という状況もあって、2600年記念イベントは国家神道的な国威発動運動として展開された性格が強い。
だが、このバッジ、神武天皇の勲を象徴する金鵄が描かれているが、これ、明らかにナチスドイツのライヒアドラー(国家鷲章)だよね? 直線的な羽の描き方、どこか機械的な印象の金鵄は、アールデコの影響が強く、ドイツの鷲章のまんまという感じだ(あちらは右向きに描かれることが多いようだが)。
ただ、周りに桜花をあしらい、日本的な雰囲気を出そうという気分が感じられる。

この2600年記念バッジはたくさん作られているので、それ自体は珍しいものではない。
そのなかでもこれは、割と悪くないデキだと思う。小さいながらツクリはよい方で、銀をベースにした配色も効果的。好みです。