徽章はバッジにしてピン

世界の徽章文化を考察するブログ。というか、バッジが大好き。コレクションを紹介したり、バッジに関する情報を考察したり。実用性皆無、実生活への寄与度ゼロ保障のブログです。

中国 安圖県人民政府公安局徽章

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私の好みも入っているかもしれないが、七宝というのは、青が最も美しいと思う。一番美しく発色する。
赤は茶色味がかったり、黒ずんだりしやすく、黄色もまた濁りやすい。染め付けの焼き物は、青色で描かれるのが普通だが、七宝と同様、結局それが一番美しく出る色だからだろうと思う。

中国のバッジで最も特徴的なことは、青・白を基調とした国民党系と、赤・黄を基調とした共産党系のものの明瞭な対比である。
そんなわけで、七宝の特色として、青色の美しさから国民党系バッジのほうに軍配を上げたくもなるのだが、それにも関わらず共産党系バッジにも名品が多い。余談だが、新しいバッジについては両者ともダメである。

このバッジは、公安局(警察署)の徽章だが、特に中央下部で結ばれた「禾穂(イネ科植物の穂。このバッジでは麦か?)」を周囲に配するのは共産主義的というより、中国の伝統的なデザインを強く感じさせる。旧字体を用いていることや、全体のツクリからも建国初期の作と思われる。
もちろんこのバッジでは、上部の歯車飾りと組み合わせることで、「労・農」の意味に用いられているわけだが、デザイン自体からはあんまりイデオロギー的な意味合いはあまり感じられず、デザインの伝統性のほうが印象に残る。

それにしても、中央に大きく赤星とそれを強調する黄線で縁取り、中央に「公安局」と入れたデザインは、圧倒的な安定感。書体もシンメトリック隷書体的な字体を採用しているが、これも全体の安定感を意識してのことだろう。
特に私が好きなのは、伝統的デザインを感じさせる麦穂飾りと、共産主義的な赤星をバッチリ組み合わせたところで、初期の新中国バッジの雰囲気がよく感じられる。「人民政府」という響きもまたたまらない。

けっして特別なバッジであるわけではない。ありふれたものとは思うけど、私のお気に入りの一品だ。
あまりに素晴らしいので、この魅力を伝えるためすこし大きめにスキャンしました(笑)。実際の大きさは縦横32mm程度なので、念のため。